▲ウェブ漫画『サイコリベンジ』

 学校の暴力的ないじめ加害者に加害する。

 悪いやつらが殴られてボロボロ泣きながら命ごいするシーンが動画投稿・共有サイト「ユーチューブ」で生中継される。力の弱い同級生をいじめて面白がっていた連中は敗北感のあまり死にそうな顔をして、全国的な恥さらしとなり、これを喜ぶリアルタイムのコメントが殺到する。「頭がおかしいやつは頭がおかしいやつが取っ捕まえなくては」。ウェブ漫画『サイコリベンジ』は一見、弱々しく見える高校生が覆面組織を作り、学校内の暴力的ないじめの主導者、いわゆる「一陣(イルジン)」グループを一掃するというストーリーだ。この歪曲(わいきょく)されたヒーローは、暴力的ないじめを犯罪と規定した上で、無慈悲な報復を行っている。反省していない者に対しては、ひたすら打ちのめすべきだという論理だ。「わたしが望むのは、ただ誰かの大切な家族が一陣の犯罪の被害者にならないこと」というある読者はコメント欄に「生徒たちがいちばんよく見るウェブ漫画メディアを通じ、認識を変化させようという試みを応援する」と書いている。

 いじめの加害者に逆に制裁するというウェブ漫画の中の「ファンタジー」が相次いでいる。いわゆる「加害者加害」ウェブ漫画だ。最近、有名芸能人やスポーツ選手の過去のいじめ加害問題の暴露が相次いでいる中、こうしたウェブ漫画も注目されている。これまでの学園物が強い者同士の力の対決の美化だとすれば、今は弱者の反撃が主流になっているのだ。シーズン3まで連載されているウェブ漫画『弱いヒーロー』は身長160センチメートル・体重50キログラムという虚弱体質の高校生が機知を働かせて悪い連中に血の味を味わわせるというストーリーで、ウェブ漫画『地獄給食』は力の論理だけで動く「トントン学校」に来た転校生が、勉学のムードを作るため、知能の低い暴力的な生徒たちを1人1人つぶしていくという内容だ。こうした傾向は、ウェブ漫画がファンタジーを通じて現実世界での不満を代わりに満足させる役割を果たしている、と説明できる。

 最近続出している匿名の暴露は、いまだに学校で暴力的ないじめが横行し、被害者の苦痛が卒業後も続いているという傍証だ。昨年11月に完結したウェブ漫画『人生存亡』はいじめで夢をなくし、言葉もうまく出なってしまった主人公が、卒業後偶然に加害者と再会することで始まる。加害者は「よく覚えていないけど、ごめん」と紙幣を数枚渡す。主人公は「謝罪を受けた」と恥を感じて逃げ出し、転落事故に遭う。すると、なぜか学生時代に戻った主人公の体の中に加害者の魂が宿り、呪いが発動する。呪いを解くには、加害者は自分の罪をもう一度たどりなおし、更生しなければならない。この過程で、ウェブ漫画は「人に接するすべ」まで失う被害者の無残な後遺症をあらわにする。「だが、お前らは最後まで悪魔だった…」。

 一連のウェブ漫画はすべてポータルサイト「ネイバー」のウェブ漫画サイト「ネイバー・ウェブトゥーン」に連載されている。10代が最も多くアクセスするウェブ漫画プラットフォームだ。世宗大学のハン・チャンワン教授は「読者にとって弱者と共に怒り、協力者やヒーローを登場させるというストーリーはファンを作るのに容易な戦略」「暴力に対応する暴力は暴力ではないという考えが固定観念化されているからこそ、可能な設定だ」と語った。

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