与党・共に民主党が検察捜査権廃止のための「重大犯罪捜査庁設置法」発議を来月のソウル市長・釜山市長補欠選挙以降に先送りすることにした。同党関係者は「現時点で急いで推進する必要はない」と言った。当初は「3月初めに発議する」と言っていたが延期されて、今回「いっそのこと市長補欠選挙以降に先送りすることにした」というものだ。検察捜査権が廃止できなければ国が滅びるかのようなことを言って推し進めていたが、「いつそんなことを言った」とでもいうように見解を変えた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長が辞任したこと以外に理由は見当たらない。

 朴範界(パク・ポムゲ)法務部長官もきのう、「検事たちはそれほど心配しなくてもいい」と言った。今はもうこの法律は必要ないということだ。朴長官は少し前まで「私は長官である前に与党の国会議員だ」と言って検察捜査権廃止法案の立法に向けて速度を上げようとしていた人物だ。政権の違法捜査を指揮していた尹検察総長が追い出された以上、検察捜査権廃止法はいらなくなったのだ。検察は再び政権の猟犬となるだろうが、何のために捜査権をはく奪しようとしたか、という思いだろう。

 重大犯罪捜査庁設置法は、憲法にその存在が規定されている検察を事実上なくすもので、そもそも話にならない法律だった。ところが、現政権は、実際にやるかのように推し進めた。「先進諸国は捜査・起訴権が切り離されている」というフェイクニュースまで動員した。しかし、彼らは、実際にそのような法律を作るつもりはなかった。まるで検察抹殺法を作るかのようにリアルに演技をして検事全員を威嚇すれば、尹検察総長は耐えられなくなり辞表を出すだろうという計算だった。この芝居の先頭に立ったのは文在寅(ムン・ジェイン)大統領だった。作戦が成功すると、少しのためらいもなく「立法を延期する」「検事たちはもう心配しなくてもいい」という。巧妙な手口で他人をだまし、カネを取り上げることをイカサマという。文政権のこの行動はイカサマと何が違うだろうか。なぜ大統領がイカサマをするのか。

 ある検事は、このような状況を「法務部長官様、お助けください」という文章で風刺した。 「月城原発事件、ライム・オプティマス事件、金学義(キム・ハクウィ)元法務部次官出国禁止事件などについて捜査を全面中断するのはもちろん、現在裁判中のチョ・グク元法務部長官とその家族などの事件、蔚山市長下命捜査事件などについても、すべて公訴を取り消せば、我々検察をお許してくださいますか」と書いている。事実、政権が望んでいるのはそれだ。

 新しい検察総長に、文大統領の手足であることを自任して「政権の違法握りつぶし」の先頭に立ってきた李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長をはじめ、韓東洙(ハン・ドンス)大検察庁監察部長、沈載哲(シム・ジェチョル)ソウル南部地検長らの名前が挙がっているという。どの人物も現政権の違法容疑の捜査を阻み、尹検察総長追放の先頭に立ってきた政権の忠犬たちだ。文大統領と現政権があれほど望んでいた忠犬検察が復帰するということだ。

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