韓国女性家族部が27日に発表した「第4次健康家庭基本計画」の核心課題は、「世の中のすべての家族を包容する社会基盤を構築する」というものだ。婚姻率が減り、晩婚化が普遍化され、単身世帯の割合が2010年の23.9%から2019年には30.2%へと急激に増えるなど、社会構造が大きく変わっているのに、政府の家族政策は依然として「結婚して子どもを産み、育てる夫婦」を主な対象としている点が問題だと見なしたものだ。女性家族部は「今後5年間、非婚・同居世帯、委託家庭(里親制度)、互いに世話をしながら生計を共にする高齢者など、さまざまな家族形態を法的に認め、これらのための政策を拡大する」と明らかにした。

■家族の範囲拡大

 政府はまず、婚姻・血縁・養子縁組関係だけを家族と認める民法と健康家庭支援法を改正する計画だ。現行の民法第779条は、家族の範囲を「配偶者、直系血族、兄弟姉妹」「生計を共にする直系血族の配偶者、配偶者の直系血族、配偶者の兄弟姉妹」と規定している。政府はこの条項を削除し、家族の範囲に制限を設けない案を推進する。また、健康家庭基本法の「婚姻、血縁、養子縁組からなる社会的基本単位」という家族定義条項も削除する方針だ。婚姻や血縁関係がなくても、一緒に世話をしながら生計を共にする多様な関係も家族として認めようという趣旨だ。同居カップルだけでなく、恋人関係ではないが互いに頼り合いながら暮らしている高齢者や、虐待被害児童の世話をする委託家庭なども該当する。女性家族部関係者は「民法・健康家庭支援法の条項は、ほかの法律や政策に実質的な影響力がないのにもかかわらず、婚姻・血縁関係以外の家族にとって差別として認識されることがあり、削除するべきだ」と説明した。

■未婚の親に対する差別改善

 政府はこれと共に、出生届時に「婚外子(非嫡出子)」と「嫡出子」を区別している家族関係登録法と民法も改正する。未婚の父の出生届要件も緩和される。従来は婚外子が生まれた場合、原則として母親が出生届を出さなければならなかった。未婚の父が申告をするには、子の母親の氏名・住所などの人的情報を知らない場合にのみ可能だった。しかし、今後は未婚の父が子の実母の情報を知っていても、協力を得られない場合は出生届を出すことができるようになった。

 また、家庭内暴力処罰法上の「配偶者」の範囲に「非婚同居」など親密な関係も含まれるよう法改正を検討する。現行法は、法的婚姻関係と内縁のみを含むとしている。さらに、家庭内暴力が発生した時、被害者が望まなければ処罰しない「反意思不罰罪」を廃止する案も検討することにした。

 韓国で活動する日本人タレント、さゆり(藤田小百合)さんの場合のように、未婚の状態で精子の提供を受けて子どもを出産した場合、医療費を支援するかどうかなどについても協議する。女性家族部側は「まず、(体外受精などの)生殖補助医療技術を利用した非婚単独出産に関する法、倫理、医学などの争点を協議する」と明らかにした。これと共に、単身世帯への支援も拡大することにした。一人暮らしの高齢者に「家事管理教育」を提供するなど、さまざまな支援策を用意する。

 政府はまた、配偶者の有無や家族形態などによる差別を禁止した「(仮称)平等および差別禁止に関する法律」も制定することにした。

■住宅・医療の権利保障も協議

 政府は、非婚・同居家族が婚姻・血縁関係家族のように住居・医療など各種の権利を保護されるという案も検討・拡大すると発表した。例えば、非婚・同居カップルもマンション分譲で「新婚夫婦特別供給」資格を与えるかどうかなどを協議するということだ。

 さらに、年金や社会保障制度において、遺族と被扶養者の範囲を拡大する案も中長期的に検討する。女性家族部側は「相続・財産・年金などの権利を保障される家族の範囲を広げるにはかなりの予算が必要で、社会的合意を経なければならない問題なので、中長期的な検討課題だ」と説明した。

 しかし、「政府が今回発表した家族政策が5年以内に実現するのは事実上、難しい」という指摘が多い。ほとんどが法律改正事案である上、宗教界などが反発する争点も随所にあるためだ。

ホーム TOP