米国で出版された大学の韓国史教材に「日本軍の慰安婦は、親の借金を返すために前金を受け取る契約を結んで自ら体を売った女性だ」という内容が盛り込まれていることが確認された。この教材は韓国のオンライン図書購入サイトで購入できることも分かった。ただし現在は新型コロナウイルス感染拡大の余波で、購入が困難な状況だ。

 

 米国の州立大学、イースタン・イリノイ大学史学科のイ・ジンヒ教授は2日(現地時間)、米国の教材専門出版社「コネラ・アカデミック・パブリッシング」が日本の右翼の歪曲(わいきょく)された歴史観を盛り込んだ教材『東アジアでの韓国の形成:韓国史』(The Making of Korea in East Asia: A Korean History)を昨年12月1日に出版し、広報してきたと明らかにした。

 日系米国人学者のチズコ・アレン・ハワイ大学博士が執筆したこの教材は、古朝鮮から21世紀にかけての韓国の歴史を扱っている。

 教材には、朝鮮が日本の植民地になった後の状況について「1930年代、朝鮮人の売春ブローカーらは、より多くの収益を得るために朝鮮人の売春婦を満州や日本、中国に送った」との内容が書かれている。

 問題になった部分は「一部の女性は朝鮮人ブローカーに騙されたり拉致されたりしたが、それ以外の女性は自ら体を売ったか、家父長制度の下で家長の借金を返すために、前金を受け取った上で2-3年間売春に従事する契約書に署名した」と主張している。

 旧日本軍の慰安婦についても、こうした朝鮮人たちの売春婦募集方式がそのまま適用されたという論理が盛り込まれている。これは、慰安婦問題を「売春業者」と「予備売春婦」間の契約行為だと規定したハーバード大法科大学院のマーク・ラムザイヤー教授の論文「太平洋戦争の性契約」とそっくりだ。

 アレン博士はこのところ日本の右翼学界と連携し、積極的な活動を展開している。

 2016年にも李栄薫(イ・ヨンフン)元ソウル大教授と朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授の主張を引用した慰安婦関連の論文を、日本の「モラロジー道徳教育財団」の歴史歪曲団体「歴史認識問題研究所」に発表し、類似の内容の主張を国際学会に発表して物議を醸した。

 モラロジー財団は、ラムザイヤー教授を役員に迎え「日本文明研究フォーラム」を立ち上げて支援しているのに加え、日本の右翼学者らの集結地と呼ばれる麗澤大を運営する類似宗教財団だ。

 現在、カリフォルニア州をはじめとする米国の一部地域の高校教材には、旧日本軍慰安婦の被害が記述されている。しかし日本の右翼の主張を盛り込んだ大学の歴史教材が出版されたことで、歪曲された歴史認識が米国内で広まりかねないとの懸念が出ている。

 出版社側は、歴史歪曲を盛り込んだ教材を出版した経緯を尋ねるイ教授の質問に対し「この教材は、同じ分野の専門家たちが審査する『査読』を経ていない可能性があるとみられる」として「さらなる調査を実施する」との反応を示したことが分かった。

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