最近になって姿が見られなかったが、先日1カ月ぶりに登場した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がめっきり痩せていたことから「健康異常説」がささやかれている。これまで140キロはあると伝えられてきた金正恩氏の体重が突然減少したとすれば、身体のどこかに異常が生じた可能性が考えられるからだ。

 米国の北朝鮮専門メディア「NKニュース」は8日(現地時間)「普段から高度肥満で糖尿病や心臓疾患などの病気を患ってきた金正恩氏が突然痩せた。これを巡って韓国、米国、日本の情報当局が『健康異常の可能性がある』として注視している」と報じた。今月4日に労働党政治局会議を主催した金正恩氏の体格を見ると、4月30日に比べて一目で分かるくらい痩せていたというのだ。

 NKニュースは昨年11月と今年3月、そして今月4日に北朝鮮の朝鮮中央通信に報じられた「腕時計を着用している金正恩氏」の写真を体重減少の根拠とした。金正恩氏はスイスのIWC製と伝えられる腕時計を左手首に着用しているが、昨年11月に報じられた写真よりも今年3月の写真、また今年3月の写真よりも今月4日の写真の方が時計のバンドを狭く締めていた。これについてNKニュースは「金正恩氏の突然の体重の変化は減量によるものかもしれないが、健康異常の可能性も排除できない」と分析した。

 NKニュースは米国の特殊作戦司令部関係者の話として「表面上は目に見えた体重減少に大きな意味を付与する必要はないかもしれないが、情報当局には別の側面から注目すべき端緒にもなり得る」と報じた。高度肥満の金正恩氏は普段から糖尿病、高血圧、心臓疾患などの生活習慣病を患っていると推定される。祖父の故・金日成(キム・イルソン)主席と父の故・金正日(キム・ジョンイル)総書記はいずれも心筋梗塞で死亡したため、金正恩氏は成人病の家族歴も持ち合わせている。韓国の情報機関である国家情報院は昨年11月の国会情報委員会で「金正恩氏の体重は2012年8月には90キロだったが今は140キロ台だ。ここ8年間で毎年平均6-7キロずつ増えてきた」と報告した。

 疾病の場合は糖尿病の初期に痩せることがあるが、その一方で金正恩氏が肥満を理由にダイエットを行った可能性も考えられる。ある医療関係者は「金正恩氏のような高度肥満の場合、痩せたということは健康上の青信号となる可能性が高い」と解説した。

 韓国政府は金正恩氏の健康異常説を否定している。韓国統一部(省に相当)の当局者はこの日「金正恩氏の公開活動に関する報道などを注視しているが、健康異常などについて語るべき内容はない」として「健康異常が起こったと判断できるだけの動向はない」という趣旨の見方を示した。また7日に開催された労働党中央委員会、党委員会責任幹部協議会について報じられた写真には、金正恩氏が普段と同じくたばこを吸う様子が撮影されていたことから、「健康異常と拡大解釈するには無理がある」との指摘も根強い

 過去にも金正恩氏は権力を握ってから長期にわたり姿を現さないことが何度もあり、そのたびにさまざまな疑惑が浮上していた。2014年には足首に生じた囊腫(のうしゅ)の除去手術で40日以上にわたり姿を現さず、身辺異常説が持ち上がっていた。昨年4月にも公開活動を全く行わなかったため、一部では「死亡説」も語られていた。

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