▲12日、京畿道抱川市二東面の陸軍航空大隊の滑走路で、スリオン系列の医務輸送ヘリ「メディオン」(KUH1M)が真っ二つになった状態でひっくり返っている。尾部と胴体は完全に分離されており、前面ガラスはほとんど破損した状態だ。機長など搭乗員5人全員が負傷した。/写真=聯合ニュース

 12日、韓国の国産機動ヘリ「スリオン」(KUH1)を改良した医務輸送ヘリが墜落する事故が発生した。

 韓国陸軍は「12日午前10時36分ごろ、メディオン(KUH1M)1機が京畿道抱川市の陸軍航空大隊の滑走路に不時着した」と発表した。事故機には操縦士など5人が乗り組んでいた。機長・副操縦士をはじめ搭乗員全員が骨折など重軽傷を負い、付近の病院へ搬送された。陸軍は「滑走路で患者を載せようと着陸を試みていた中、不時着した」と説明した。

 しかし、午後に公開された現場写真で、ヘリの胴体は尾部と分離されて真っ二つになったまま地面にひっくり返っている状態だった。前面ガラスはほとんど割れ、ローターもかなりの部分が破損した。事故直前、ヘリが滞空していた高さは数十メートルだったという。陸軍本部のノ・ジェチョン政訓公報室長(准将)は、本紙の電話取材に対し「狭い意味で見れば墜落ではなく不時着」と語った。

 韓国語辞典は、「不時着」の意味を「飛行機が目的地に至る前に、予定されていない場所に着陸すること」と明示している。韓国政界や軍内外からは「『不詳発射体』に続いては『不時着呼訴体』か」「もっともらしく言い繕ったりする韓国軍を、国民がどうして信頼できるのか」という指摘も出た。ノ室長は「インターネットで『不時着』と検索すれば、もっとひどい写真もたくさん出てくる」と反論した。

 韓国陸軍は昨年、「空の救急室」と呼ぶメディオンを8機、実戦配備した。導入価格は合計2200億ウォン(現在のレートで約211億円。以下同じ)。事故機は昨年秋に配備されたという。機内には各種の救急医療装備が備わっていて、重症患者2人など最大6人の患者を輸送できる。さらに、メディオンは軍人だけでなく民間人の緊急医務輸送も支援している。

 スリオン系列のヘリは2013年に実戦配備された後、数回にわたって事故が続いている。韓国陸軍と海兵隊は事故直後、スリオン・メディオンをはじめ、同じスリオン系列の上陸機動ヘリ「マリオン」(MUH1)の運航を全面中止した。また、航空作戦司令官を委員長とする調査委を立ち上げ、韓国航空宇宙産業(KAI)などと共に正確な事故原因を調査する方針だ。

 スリオンは韓国陸軍の老朽ヘリ(UH1H、500MD)を代替するため、06年からおよそ6年かけて開発した韓国の国産ヘリだ。税金1兆3000億ウォン(約1250億円)が投じられた。しかし13年の戦力化以降、各種の事故が続いている。13年から16年にかけて、前面ガラスの破損事故が5回も発生した。14年にはローターと胴体上部のワイヤカッターが接触して破損し、エンジンが停止した。15年にはエンジンが停止して緊急着陸したり墜落したりする事故が3件続いた。

 さらに18年には海兵隊のマリオンが墜落し、搭乗員5人が命を落とした。当時の民・官・軍合同調査委員会は、回転翼と胴体を連結する重要部品「ローターマスト」の破損を事故原因に挙げた。

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