▲黒い煙に覆われたLG電子の工場。南アフリカ共和国で12日に発生した大規模な暴動により、クワズールーナタール州の港湾都市ダーバンの工業団地にあるLG電子の工場にも地元住民が無断で侵入し、家電製品などを略奪した。/聯合ニュース

 南アフリカ共和国で12日(現地時間)に大規模な暴動が発生し、暴徒らはショッピングモールや商店などで略奪や放火などを行った。現地のLG電子工場も略奪を受け工場が全焼した。警察は暴動を鎮圧できず治安の維持が困難となったため、南アフリカ共和国政府は軍を緊急配備した。今回の暴動は不正や腐敗の容疑で取り調べを受けてきたズマ前大統領が収監されたことに支持者らが反発し、今月9日に抗議行動を始めたことがきっかけになった。その後は4日にわたり抗議が激しくなり暴動に発展してしまった。

 南アフリカ共和国のラマポーザ大統領はこの日、テレビを通じて行った演説で「わが国の民主主義の歴史上、めったにない暴力行為により少なくとも10人が死亡し、490人以上が逮捕された」「今われわれが目撃している略奪や窃盗は混乱をあおる機会主義的な犯罪だ」と訴えた。

 主要な外信などによると、ズマ前大統領の出身地である東部のクワズールーナタール州から始まった暴動は同国最大の都市ヨハネスブルクのあるハウテン州にまで拡大している。現地のテレビ報道やSNS(会員制交流サイト)の映像を確認したところ、こん棒などを手にした暴徒らが商店を襲い、陳列棚の商品を手当たり次第に持ち去っていた。衣類や食料品、家電製品が略奪されたかと思えば、冷蔵庫が盗み出されるケースもあった。クワズールーナタール州最大の都市ピーターマリッツブルクでは大型ショッピングモールで火災が発生し、通りの車も数十台が全焼した。

 ヨハネスブルクでは暴徒らが市内の中心部にバリケードを設置し、バスや鉄道などの公共交通機関の運行も一部で中断している。会社や事業場などの多くで業務ができなくなり、現地では経済活動も事実上ストップ状態にあるようだ。南アフリカ共和国国防省はこの日声明を出し「騒乱事態を鎮圧するためハウテン州とクワズールーナタール州に兵力を配備した」と発表した。

 今回の暴動でクワズールーナタール州の港湾都市ダーバンの工業団地にあるLG電子の工場でも大きな被害が発生した。南アフリカ共和国駐在の韓国大使館はホームページを通じ、この日深夜1時に正体不明の90人が工場内に入り込んで商品などを略奪し、深夜2時には120人が再び侵入したと伝えた。暴徒は家電製品や複数の機械、さらに資材なども盗んでいったという。LG電子によると、この日午後には放火によって工場と倉庫で火災が発生した。現地のニュース映像を確認したところ、LG電子の工場は炎と黒い煙に覆われていた。2011年に建設され現在およそ100人が勤務するこの工場ではテレビやモニターなどを製造している。LG電子は「人命被害はなかったものの、数十億ウォン(数億円)規模の被害が発生した」と明らかにした。南アフリカ共和国駐在の韓国大使館は現地在住の韓国人に「無用な外出はできるだけ控え、身の安全に特に注意してほしい」と呼び掛けている。韓国外交部(省に相当)によると、南アフリカ共和国には約3300人の韓国人が居住しているという。

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