チョ・グク元法務部長官の妻で、娘の入試不正とプライベートファンドへの違法投資などで起訴された東洋大教授、チョン・ギョンシム被告の裁判で、二審のソウル高裁でも懲役4年の判決が言い渡された。

 ソウル高裁は11日、一審と同様、チョン被告の娘、チョ・ミン氏がソウル大と釜山大の医学専門大学院の入試に使用した経歴(いわゆる7大スペック)は全て虚偽だとする結論を下した。チョン被告が資産管理人K氏と共にオフィスのパソコンなどを隠した証拠隠滅教唆罪については、一審判断を覆し有罪とした。

 夫であるチョ元長官の甥、チョ・ボムドン氏が提供した未公開情報を利用し、二次電池会社WFMの株式14万4304株を売買した点については、場外取引分の12万株を嫌疑なしとし、一審判決が変更された。これにより、チョン被告の起訴事実15件のうち12件で有罪が認定された。

 ソウル高裁は量刑理由を通じ、チョン教授の犯行と態度を厳しく批判した。ソウル高裁が配布した資料によると、チョ・ミン氏が檀国大、ソウル大、東洋大などでインターンや補助研究員として活動したという7件の経歴のうち3件はチョン教授が自ら虚偽作成。2件は夫のチョ元長官が作成したと断定。これら7件のの虚偽経歴は2013年にチョ・ミン氏がソウル大医学専門大学院を受験した際に使用され、14年に釜山大医学専門大学院に提出した入学願書などにはうち4件が記載されたと指摘した。

 ソウル高裁は「入試制度自体の公正性に対する韓国社会の信頼と期待を深く傷つけた。チョン教授は捜査、裁判の過程で一貫して当時の入試制度自体の問題だとする態度で犯行の本質をあいまいにした」と批判した。

 同日の公判に先立ち、チョ元長官は「2009年5月にソウル大公益人権法センターのセミナーを撮影した動画に登場する女性はチョ・ミン氏で間違いない」とするチョ・ミン氏の高校時代の同窓生J氏のSNS投稿を引用し、問題のインターン確認書は虚偽ではないという趣旨の主張を行った。民主党の尹昊重(ユン・ホジュン)院内代表も「埋もれた真実がついに明らかになった」とし、チョ元長官の主張を支持した。しかし、ソウル高裁は「インターン確認書が証明する事実がいずれも虚偽である以上、セミナー動画の女性がチョ・ミン氏かどうかは判断に影響を与えず、別途判断しない」とした。

 ソウル高裁は今回、チョン教授の「未公開情報を利用したWFM株取引」(資本市場法違反)について、場外で取引した12万株についてだけ無罪とした。これについて、与党からは「プライベートファンド関連の容疑は全て無罪になった」とする主張も聞かれた。

 しかし、ソウル高裁は「(チョン教授が得た)利得の大きさに関係なく、それ自体で証券市場に参加する一般投資家に財産上の損失のリスクを招く」とし、「市場経済秩序を揺るがす重大な犯行であり、その罪は決して軽くない」と批判した。当時の株式取引がチョ・グク元長官が青瓦台民政首席秘書官だった時代の財産申告に反映されなかったことについては、「公職者に求められる財産増殖の透明性などを害する結果を招いた」と指摘した。

 ソウル高裁はまた、チョン教授がコリンクPE関係者に証拠隠滅を、資産管理人のK氏に証拠隠匿を指示したとされる点については、「優越的地位を利用し、そうした指示を行っておいて、『静かな場所で落ち着いて見る意図だったにすぎない』などと強弁し、犯意を徹底して否認した」と皮肉った。

 今回の判決はチョ元長官がソウル大のインターン確認書を直接偽造し、釜山のホテルでのインターン確認書もチョ元長官が虚偽作成したとする一審の判断を維持した。法律専門家は「ソウル大のインターン確認書偽造などで起訴され別途裁判を受けているチョ元長官に不利に働くのではないか」との見方を示した。

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