横30メートル、縦20メートルのソーラーパネルは、まるで白い絵の具を塗りたくったかのようだった。3日午後、全羅北道群山市のセマングム防潮堤を訪れた。約240枚の水上太陽光パネルが設置されたセマングム湖内で、8人の作業員が放水装備を片手にパネルを掃除していた。紺色の太陽光パネルはカモメ、カモ、ウなど、さまざまな鳥が排せつしていった分泌物で汚れていた。パネルを水で洗い流すと、今度は鳥のふんにより腐食したような跡が見受けられた。清掃後5時間ほどで、パネルは再び鳥のふんにまみれた。周囲の住民は「鳥のふんのせいでパネルを毎日掃除しなければならない」と眉間にしわを寄せた。

 韓国政府の調査によると、セマングム一帯には毎年数万-数十万羽の渡り鳥がやって来る。ソーラーパネルは鳥たちにとって最高の憩いの場となるのだ。数百万枚のパネルが鳥のふんで覆われることになりかねない。ソウル大学のチュ・ハンギュ教授は「太陽光は年平均の利用率が15%程度と低い方で、パネルが汚れると発電量も大幅に減少するほかない」と説明する。

 セマングム湖では、今年3月から韓国産業技術試験院の主導の下、水上太陽光に対する各種の研究が進められている。現在、セマングム湖に設置された水上太陽光パネルも、同研究の一環として設置と解体、再設置を繰り返している。群山から辺山にかけてのセマングム4号防潮堤区間(11.4キロ)には、水上太陽光の試験発電設備が2基設置されている。ある住民は「作業員が鳥のふんを掃除した発電設備1基は、再設置して3日後に再び鳥のふんまみれとなった」と言う。ここから約3キロ南に設置された4基の太陽光パネルも、いつ掃除したのか分からないくらいに鳥のふんで覆われていた。一日中、カモメや鵜のような鳥が飛来し、パネルを憩いの場として利用しては、また飛んでいった。

▲色あせてしまった太陽光発電、鳥たちの憩いの場でありトイレと化したソーラーパネル - 5日午後、全羅北道群山市飛鷹島洞のセマングム湖に設置された水上ソーラーパネルが、鳥のふんで汚れている。=キム・ヨングン記者

 政府は、セマングムの水上太陽光事業を進める際に「パネルは雨水で十分に洗われるため、別途の洗浄は必要ない」と説明していた。パネルの設置後、「放っておいても問題なし」というわけだ。ソーラーパネルを化学物質が入った洗浄液で洗い流すと水質汚染が懸念されるとの指摘についても「雨水ではなく地下水や水道水で洗浄すれば、そうした懸念にも対処できる」と述べた。しかし、実際に試験事業を行ってみたところ、予想とは全く裏腹の結果となったのだ。

 洗浄液で鳥のふんを洗い流すにも、問題は山積みだ。海外の研究結果によると、ソーラーパネルの前面ガラスには「光反射防止コーティング」(ARC=Anti Reflection Coating)処理を施さなければならないが、洗浄液を誤って使用する場合、コーティングがはがれ落ちてしまうほか、化学物質洗浄液による水質汚染が懸念されるからだ。だからといって掃除をしないわけにはいかない。発電効率がダウンする上、鳥類の排せつ物に含まれる強い酸性物質は、パネルを腐食させ、性能を低下させてしまうためだ。

 今年になって約60万メガワット規模の水上太陽光を設置したシンガポールの太陽光研究所は「鳥のふんなどによってパネルに陰影ができ、太陽光を均一に受け取ることができなくなると、熱と過負荷による『ホット・スポット』現象が生じる」としている。何よりも、セマングムに敷かれている数百万枚のパネルを周期的に清掃しなければならないこと自体が一大事との話もある。

 海外のある国では「鳥のふんからパネルを守るため、鳥を追い払う」案を検討している。鳥にレーザー光線を当てたり、ごう音を鳴らしてソーラーパネルに鳥が集まるのを未然に防いだり、パネル上部にワイヤを設置して鳥が止まれないようにするやり方だ。鳥が嫌う超音波を利用したり、かかしのように「視覚的に恐怖を与える装置」などの設置を代案として発表する海外の研究機関もある。

 しかし、環境に優しいことを売りとしている太陽光発電を進める過程で、数万-数十万羽の鳥を人為的な方法で分散させ、鳥が安心して休むことを妨害したり、被害を与えたりする手段を用いることが果たして適切なのかどうかといった論議がある。結局セマングムに設置される巨大な水上太陽光団地は、当初意図していた太陽光発電を行いながらも、一方で鳥たちとの共存を図れるかどうかが大きな鍵となりそうだ。これについて本紙は、セマングム水上太陽光事業を進めるセマングム開発庁に「鳥の分泌物問題などに対する対策はできているか」と質問したものの、8日現在で回答は得られていない。

パク・サンヒョン記者

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