世界最大の車載用バッテリーメーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)の今年上半期の純利益は前年同期比131%増の44億8400万元(約763億円)億元を記録した。売上高は134%増の440億7500万元だった。いずれも過去最高の業績だ。中国メーカーだけでなく、テスラ、現代自動車、ダイムラーなどにもバッテリーを供給するCATLは世界の電気自動車(EV)市場が急成長したことで大きな恩恵を受けている。

 バッテリーだけではない。過去に中国国内ですら存在感がなかった中国の完成車メーカーは最近、世界的なブランドを抑え、上位圏に浮上している。世界最大の自動車市場であり、最大のEV市場でもある自国市場で内燃機関車よりもEVを優先的に開発してきた現地メーカーがEV時代の到来で頭角を現している。

■上海汽車、テスラ抑えエコカー首位

 最近中国のエコカー市場では中国地場メーカーの活躍が目立つ。10位圏内に入ったメーカーのうち7社が中国メーカーだ。中国最大の国営自動車メーカー、上海汽車はエコカー販売が前年同期の7倍に増え、テスラを2位に追いやり、首位に立った。昨年上半期の11位から今年は4位に浮上した長城汽車を含め、3位から6位までを中国メーカーが占めた。

 秘訣は小型EVだ。上海汽車は五菱集団、ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁会社、上汽通用五菱汽車(上海GM五菱)が開発した500万ウォン台の小型EV「宏光ミニEV」が中国の若い層に人気となり、EV大手に急浮上した。長城汽車は「欧拉(オラ)黒猫(ブラックキャット)」というかわいいデザインの小型EVを1200万ウォン台で発売し、中国の女性消費者を攻略した。長安汽車は500万-600万ウォン台の「奔奔E-Star」、広州汽車は2000万ウォン台で航続距離500キロメートル以上の「Aion(アイオン)S」で人気を集めた。

 比亜迪(BYD)、上海蔚来汽車(NIO)、広州小鵬汽車科技(Xpeng)など中高価格帯のEVメーカーは車体が大きいスポーツタイプ多目的車(SUV)、スポーツカーまで販売を拡大しており、主要メーカーはEV天国と呼ばれるノルウェーをはじめ、欧州への輸出にも取り組み、海外での影響力を拡大している。

 中国のEV市場成長の背景には、それを下支えしてきた中国のバッテリー産業がある。中国のバッテリーメーカーはCATLを筆頭に急成長を遂げており、BYD(4位)、中航リ電科技(CALB、リ=金へんに里)、遠景AESC(8位)、国軒高科(9位)の5社が10位圏内に名を連ねる。今年上半期の中国メーカーのシェアは40%前後で、昨年上半期(34%)に比べ大きく上昇。韓国勢は昨年上半期にトップだったが、今年上半期は37%で中国勢に抜かれた。バッテリー業界関係者は「中国の安価なバッテリーが中国EV市場成長の源泉だ」と指摘した。

■中国のEV崛起は成功するか

 内燃機関車の技術で遅れていた中国はかなり前から未来の自動車であるEVを集中的に育成してきた。半導体、自動運転、5Gなど先端技術を集約したEV産業を育成し、テクノロジー分野で主導権を握る戦略を着々と実行している。華為技術(ファーウェイ)、小米(シャオミ)など中国のスマートフォンメーカーが巨大な中国の内需市場を基盤として成長した後、世界市場に進出したように、バッテリーから完成車まで中国国内に強力なEV生態系を構築した上で、海外市場の攻略を狙う。中国当局は阿里巴巴(アリババ)など内需型のインターネット企業、ゲーム企業を締め付けているが、スマートフォン、半導体、EVなど輸出テクノロジー産業に対しては有力な後援者を名乗っている。

 韓国自動車研究院のイ・ハング研究委員は「中国政府はコストパフォーマンスが高いEVを量産するため、海外の非難を受けつつも、中国製バッテリーを搭載した安価なEVに補助金による集中支援を行ってきた。韓国企業がEV市場でも競争力を保つためには技術力で差別化しなければならないが、時間はあまり残されていない」と指摘した。

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