▲韓国産超音速巡航ミサイルが、海に浮かぶはしけの上に設置された標的(網)に命中しようとしている。超音速巡航ミサイルはマッハ3(音速の3倍)以上の超高速で、最大およそ500キロ先の標的を精密打撃できるといわれている。/写真=聯合ニュース

 9月15日、青瓦台(韓国大統領府)と韓国軍当局がSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と共に初めて公開した韓国産超音速巡航ミサイルは、有事の際には西海の中国空母をはじめ、東海・西海のあらゆる仮想敵国の艦艇を音速の3倍以上のスピードで精密打撃できることが分かった。有事の際には「空母キラー」として活用できる、本格的な「韓国型毒針兵器」だとの評価が出ている。

■韓国産超音速巡航ミサイル、最大射程はおよそ500キロに達するもよう

 15日に公開された韓国産超音速巡航ミサイル(地対艦)は、迎撃が困難なほど高速であるのみならず、射程も長く、西海はもちろん東海上のあらゆる艦艇を打撃できるという。韓国政府の消息筋が19日に語った。西海はもちろん東海上のあらゆる艦艇を打撃できるということは、最大射程が500キロ前後に達するという意味だ。

 巡航ミサイルは精度に優れている反面、速度は音速以下、すなわち亜音速であることが普通で、迎撃が可能だ。韓国海軍の主力対艦ミサイル「海星」は、最高速度がマッハ0.95程度だ。だがマッハ3-4以上の超音速巡航ミサイルになると迎撃が難しい。水面上数メートルの高度で海に張り付くように超低空飛行すればレーダーで探知し難く、迎撃は一層困難になる。特に、北朝鮮はまだ超音速巡航ミサイルの迎撃能力を持たない。超音速巡航ミサイルは超音速エンジン技術、精密制御技術、超高温耐熱素材など先端航空技術が集約された兵器システムであって、亜音速巡航ミサイルよりはるかに高度な技術が要求される。

 韓国軍当局は、艦対地、地対艦、艦対艦の3種類の超音速巡航ミサイルを開発済み、もしくは開発中といわれている。9月15日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領が視察する中で試射に成功した超音速ミサイルは地対艦タイプだった。陸地から海上の艦艇を攻撃する兵器で、ペンニョン島や鬱陵島などの島や韓国西海岸・東海岸に配備すれば、300-500キロ先にいる敵の空母などの艦艇を精密打撃できるミサイルだ。

 西海に中国の空母機動部隊が配備されたら制海権を握られる恐れが大きいが、これをけん制できる効果的な兵器ができたことになる。独島・離於島で日本・中国との海洋紛争が起きた際にも効率的なけん制、打撃手段となり得る。

■西海の中国空母機動部隊もけん制可能

 韓国国防部(省に相当)は「今回開発された超音速巡航ミサイルは、従来の(巡航)ミサイルに比べスピードが速く、敵艦艇は対応するのが非常に難しく、ミサイルの生存性と破壊力が一段と向上した」とし「韓国の領海に接近する勢力に対して一段と実質的に対応できる、核心戦力になると期待される」と明かした。韓国軍消息筋は「韓国産超音速巡航ミサイル3種類のうち一部は、既に実戦配備が進んでいるらしい」と伝えた。

 韓国軍当局は9月15日と17日の2度にわたり、韓国産超音速ミサイルの動画を公開した。15日の動画は、同日の試験に成功したもので、超音速ミサイルがよく見えないほどすさまじいスピードでバージ(はしけ)上の標的(網)を通過する様子が収められている。17日に公開された動画は、超音速巡航ミサイルがバージの上の網を支える鉄の柱に命中し、柱を折る様子を捉えたもので、かつて試験したときの映像だ。これらの動画を見たネットユーザーらは「光の速度だ」「鳥肌が立つ」などの反応を示して歓呼した。

 韓国軍当局が公開した動画を見ると、韓国産超音速ミサイルは、発射シーンや外形がロシアのP800「ヤホント(宝石)」超音速ミサイルと似ている様子が見られた。これまで「韓国の超音速巡航ミサイルは『ヤホント』の技術を活用して開発中」という話が流れていたが、これをある程度裏付けていることになる。「ヤホント」は長さ8.9メートル、直径70センチ、重量3.1トン、最高速度はマッハ2.5-3という高速のミサイル。最大300-600キロ離れた目標を打撃できる。

■驚くべきスピードで鉄の柱に命中…映像にネットユーザー歓呼

 インドとロシアは、「ヤホント」を発展させた「ブラモス」という超音速巡航ミサイルもさまざまな形態で共同開発している。中国も2014年に珠海エアショーで独自開発した超音速対艦ミサイル「CX1」を公開したが、外形は「ヤホント」とそっくりだった。

 国防科学研究所(ADD)とLIGネクスウォンなどが開発した韓国産超音速巡航ミサイルの詳しい諸元は秘密になっており、確認はされていない。専門家らは、「ヤホント」よりややサイズが小さく、長さは6.6メートル、直径53センチ、重量1.5トンで弾頭重量は250キロ程度だろうと推定している。敵のレーダーにあまり捕捉されないようにステルス設計を施し、レーダーおよび赤外線センサーなどさまざまな精密誘導装置を備え、精度も高い。

■KF21に搭載する超音速空対艦ミサイルの開発計画も

 韓国軍当局は今後、初の韓国産戦闘機KF21に搭載する超音速空対艦巡航ミサイルも開発する計画だ。ADDは昨年、『国防科学技術プラス』という刊行物を通して、超音速空対艦ミサイルの開発計画を明らかにした。韓国産超音速空対艦ミサイルは、有事の際にKF21から発射され、中国・ロシアなど周辺大国の空母や水上艦艇などを撃沈できる。マッハ2.5以上の超高速で飛行し、水面上を低く飛ぶことができるので迎撃が難しい。

 2020年代末ごろまでに開発される韓国産超音速空対艦ミサイルは、直系およそ40センチ、射程250キロ程度といわれている。直径は日本の「ASM3」超音速ミサイルよりやや大きく、台湾の「雄風3」超音速ミサイルよりは小さいと評価されている。射程は日本のASM3(射程200キロ)や台湾の雄風3(射程150キロ)より長いと推定される。

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