▲本紙男性記者のディープフェイク実験映像-本紙男性記者がスマートフォンアプリで自分の顔を別の女性の体と合成したディープフェイク映像

 大学生の女性(24)は最近、友人から下着姿の女性モデルに自分の顔が合成された動画を受け取った。友人がスマートフォンのアプリで作った「ディープフェイク」映像だった。友人は動物、映画の主人公と合成した動画も相次いで送ってきたという。女性は「友人が面白がって冗談で送ってきた映像だとは思うが、許しもなく自分の顔を他の人物や動物と合成して、正直不快だった。ソーシャルメディアに掲載されている自分の写真1枚でこんな違法合成映像を作れることに鳥肌が立つ」と話した。

 人工知能(AI)を使って動画の中の人物の顔に別の人物の顔を巧妙に合成するディープフェイク映像が老若男女を問わず急速にゲーム感覚で広がっている。何回かタッチするだけで合成動画ができるアプリが相次いで登場し、合成された画像がカカオトークやインスタグラムなどのソーシャルメディアで拡散している。先月サービスを開始した「フェイスプレイ(faceplay)」というアプリは1カ月でダウンロードが100万回を超え、インスタグラム上の関連投稿は3万7000件に達する。それに似た「リフェイス(reface)」というアプリはダウンロードが1億回以上、関連投稿は65万件を超えている。

 ディープフェイク技術は諸刃の剣で、遊び道具にもなるが、犯罪に悪用される懸念もある。今年1月には青瓦台の国民請願掲示板に「女性芸能人が苦痛を受ける違法な映像ディープフェイクを徹底して処罰してほしい」という請願があり、39万人余りの同意を得たのもそのためだ。最近は有名人だけでなく、一般人も犯罪対象になっている。全北地方警察庁は今年2月、インターネット上で知り合った一般女性の顔をわいせつなコンテンツに合成し、半年で57回も海外のアダルトサイトに投稿した20代の男を逮捕した。

 最近ツイッター、タンブラーなどのソーシャルメディアには「知人陵辱」「知人合成」という検索ワードが目につく。知人の写真2-3枚を送れば、ポルノなど性的羞恥心を抱かせる写真や映像と合成するという広告だ。気に入らない知人に恥をかかせたり、関心を寄せる相手をひそかに性的な対象にしたかったりする人の需要を狙ったものだ。業者は連絡先を公表せず、機密性が高いメッセンジャーアプリのテレグラムなどを利用し、「無料で製作するから、知人の顔と体の写真を送れ」だとか、合成費用として、写真1枚当たり1000ウォン、動画1件当たり1万ウォン相当の文化商品券を送るように要求してくる。

 政府系のデジタル性犯罪被害者支援センターが昨年、24のアダルトサイト、ソーシャルメディアに掲載された1万1981件の違法合成画像を追跡した結果、学生・職場など一般人を対象にしたものが全体の20%を占めた。同センターの担当者、パク・ソンヘさんは「過去には歌手、俳優など有名人の違法合成画像を拡散していたが、最近は一般人が周辺の知人を対象に犯罪に及ぶケースが増えている。ディープフェイクにアクセスしやすくなっており、犯罪への悪用に対する警戒も必要だ」と指摘した。

 冗談だとしても他人が性的な羞恥心を抱く合成写真、合成画像を製作して広めた場合、法的に処罰を受ける可能性がある。他人の意思に反し、配布目的で性的欲望、羞恥心を誘発しかねない編集物、合成物を製作した場合、5年以下の懲役または5000万ウォン(約470万円)以下の罰金を科すという条項が性暴力処罰法に新設された。アンパク法律事務所のアン・ジュヨン代表弁護士は「ディープフェイクアプリで提供される露出度が高い衣装の人物に同意を得ていない他人の顔を合成し、性的羞恥心を誘発した場合、デジタル性犯罪になる。名誉を失墜させる可能性がある行為が行われる合成画像の場合、名誉毀損罪にも該当する可能性がある」と指摘した。

チェ・ジェウ記者

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