「北朝鮮に対する制裁を緩和すべき時になった」とする韓国外交部(省に相当)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)長官の発言と関連し、米国務省は「制裁の重要性」を強調したという。米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が2日(現地時間)に報じた。国務省は韓国政府の主張について論評を求めたVOAに「北朝鮮は挑発を中止し、国連安全保障理事会決議に伴う義務を順守しつつ、米国との持続的かつ集中的な交渉に臨まねばならないとする強力かつ統一されたメッセージを国際社会が送ることが重要だ」とコメントした。

 国務省は「北朝鮮は国連安保理決議に違反する制裁回避の努力を通じ、引き続き大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイル開発に資金を投入している」と指摘した上で、上記の考えを示した。国務省はさらに「北朝鮮に対する国連制裁は有効であり、米国はこれを引き続き実行する」ともコメントした。

 今回の国務省によるメッセージは、韓国政府が北朝鮮に対する制裁の緩和を何度も主張する中で発せられた。鄭長官は1日、国会外交統一委員会の外交部国政監査で「北朝鮮に対する制裁緩和を検討すべき時になった」と発言し、またその前に行われた米ワシントン・タイムズとのインタビューでも「米国が北朝鮮に提供できる具体的なインセンティブ(誘因策)を提示する必要がある」との考えを示していた。

 一方で米国の外交ニュース誌「フォーリン・ポリシー」は「国務省が今年4月に米国議会に提出した報告書を入手した」とした上で、この報告書から「過去数年間で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との核対話は失敗したが、バイデン政権はその間に崩壊した制裁網を復元しようとしている」と報じた。フォーリン・ポリシーはこの報告書に基づき「国務省は国内と域内の制裁当局に追加の制裁対象を指定するよう求めていた」とも明らかにした。

 北朝鮮が極超音速ミサイル「火星8型」を発射した問題について協議するため、米国などの要請で国連安全保障理事会が今月1日に招集されたが、これについて北朝鮮は3日「明らかなダブルスタンダード」と反発した。北朝鮮外務省国際機構局のチョ・チョルス局長はこの日発表した談話の中で「(火星8型の発射は)自衛的な国防活動であり正当な主権の行使だ」と主張し、安保理の招集そのものを『容認できない完全な挑発」と抗議した。

 チョ局長はさらに「米国とその追従国家の英国、フランスなどは火星8型の試験発射を国連決議違反と罵倒し、国際社会の平和と隣接国の安全に脅威になっていると強弁している」「(安保理が)強盗のような米国的思考と判断を重視し、ダブルスタンダードによって共和国の自主権をまたも侵害しようとした場合、その良くない結果がどうなるかをしっかりと考えた方がよい」と主張した。

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