▲済州市内の4・3平和公園に設置された行方不明者の表示石。/聯合ニュース

 済州4・3事件の犠牲者に対する賠償・補償の額として韓国政府が1兆3000億ウォン(約1200億円)を提示した。韓国政府が4・3事件の犠牲者に具体的な賠償・補償の額を提示するのは今回が初めてだ。

 済州4・3犠牲者遺族会が7日に明らかにしたところによると、韓国行政安全部(省に相当)は今月6日午後、済州4・3平和教育センターで非公開の会議を開き、遺族会などに「歴史上の事件に関する賠償・補償基準の制度化に関する研究」の結果について説明した。研究担当者らは1人当たりの賠償・補償金の額を6960万ウォン(約652万円)と計算し、これに2000万ウォン(約190万円)の慰謝料をプラスして犠牲者1人当たり総額8960万ウォン(約840万円)と策定したという。1954年当時の通常賃金の貨幣価値を現在の価値に計算して提示された額だ。遺族会の関係者は「事実上の均等支払い方式として決まった」と伝えた。研究担当者らは賠償金・補償金の支払いを来年から開始し、今後3年から最大で5年かけて段階的に支払う方法も提示した。

 現在、政府が認めた済州4・3事件の犠牲者は1万4533人だ。政府が提示した賠償・補償金の額が正式に決まれば、補償の規模は総額で1兆3000億ウォンに達する見通しだ。これは政府が歴史上の事件による民間人犠牲者に賠償・補償を行うケースでは最高額になるが、これは犠牲者の数が他の事件よりも多いのがその理由だ。行政安全部の関係者は「政府の調査によると対象者はおよそ1万人以上で、額は9000億ウォン(約840億円)台になる」「遺族がいないとか連絡がつかないなどの理由で賠償や補償ができない犠牲者もいるからだ」と説明した。

 遺族会は「6・25戦争中に起こった蔚山保導連盟事件の犠牲者や遺族が国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟において、裁判所が1人当たりの賠償・補償の額を最大で1億3000万ウォン(約1220万円)とした判例と比較すれば、今回提示された額は少ない」と主張している。遺族会は遺族らの意見を集め、近く対応を決める予定だ。政府は遺族会の意見を確認した上で、今年中に賠償・補償の額を正式に決める方針だ。

 今回の補償は「済州4・3事件の真相究明および犠牲者の名誉回復に関する特別法」の改正案が今年2月に国会で成立したことを受け法制化された。「国は犠牲者として正式に認められた人に慰謝料などの特別な支援を講究し、必要な基準を取りまとめねばならない」とする規定に基づき、来年度予算案には第1次年度の賠償・補償金として1810億ウォン(約170億円)が含まれている。

 済州4・3事件とは済州島における南労党(南朝鮮労働党)による武装蜂起がきっかけとなり、左翼勢力による集団騒乱事態が起こったことから、政府が軍や警察を動員して鎮圧する際(1948-54)に事件とは関係のない多くの済州島民が犠牲となった事件だ。

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