文化総合
「ハングルはキリスト教を布教する最高の武器」
「ハングルは本当に、この世界で最も簡単だ。西暦1445年に発明され、ほこりまみれの時代の中で静かに自分の歳月が来るのを待っていたが、誰がそれを理解しただろうか。神の神秘的な摂理によって、それは新約聖書や他のキリスト教の書籍のために準備されたまま、自分の日が来るのを待っていた」
韓国国民の90%「ハングルは美しく科学的な文字」
1909年、カナダ出身の宣教師ゲイル(1863-1937)は著書『転換期の朝鮮』で、同僚宣教師ジョンソン(1867-1919)のこの一文を引用した。グリフィス宣教師(1843-1928)は「金や宝石を発見したアリババも、諺文(おんもん、ハングル)のつづりを見つけ出したアンダーウッドとアッペンツェラーほどは楽しさを感じなかっただろう」と語るほどだった。これらは、当時の宣教師らが、ハングルがどれほど「良い武器」であるかを自覚していたことを示している。宣教師らはハングルと漢文を混用するのではなくハングル専用を選び、聖書をはじめとする書籍を編さんして宣教で積極的に活用した-と許敬震(ホ・ギョンジン)延世大学名誉教授は分析した。通路の役割を果たしたのは、1890年に教派の違いを超越して設立された連合機関である「大韓基督(キリスト)教書会」だった。読み物に飢えていた大衆は基督教書会の書籍に好意的な反応を見せ、信者になった。基督教書会が編さんした書籍は130年間で1万種類にもなる。
基督教書会は10月5日、130周年を記念して、ソウル市中区の救世軍貞洞1928アートセンターで「ハングルと朝鮮イエス教書会刊行物」をテーマとするシンポジウムを開催した。本来130周年は昨年だったが、新型コロナのため1年順延された。許敬震・延世大学名誉教授およびアン・イェリ(韓国学中央研究院)、ソ・シネ(漢陽大学)、呂寅碩(ヨ・インソク)=延世大学=教授が、教養・文学・女性・児童・保健・医学図書にまで及ぶ基督教書会の活動を整理・発表した。
発表資料によると、宣教師らは韓国人協力者らと共にさまざまな分野の本をハングルで編さんした。ゲイル宣教師は、1890年代に日本の出版社から初めて韓英辞典を出版した後、1911年に基督教書会から改訂増補版を出し、表題語だけでもおよそ4万8000語に上るほど完成度を高めた。図書目録を見ると、基督教書会は事実上、総合出版社だった。『天路歴程』など西洋キリスト教の古典だけでなく、創作童話『セッピョル(明星、新星)伝』や『イソップ寓言(ぐうげん)』などの児童書、『ロビンソン・クルーソー』『ジキル博士とハイド氏』などの外国小説、『植物図説』『科学と宗教』などの教養書、農村啓蒙(けいもう)運動や禁酒・禁煙など節制運動に関する書籍、さらには「性教育」書に至るまで、全方位的に出版した。1930年にはレマルクの世界的ベストセラー『西部戦線異状なし』(1929)を、『西部戦線は静かだ』というタイトルで早くも出版している。1900年代初期、漢城監獄に最も多くの書籍を寄贈したのも基督教書会で、最も多く貸し出された本もまた基督教書会の出版物だったという。
基督教書会の発行人を務めているソ・ジンハン牧師は「ハングルは、朝鮮王朝が倒れてから20-30年もたたないうちに、民族の主流言語になった」とし「この驚くべき変化の中心に、キリスト教と基督教書会が存在した」と語った。
金翰秀(キム・ハンス)宗教専門記者