「韓国旅行の禁断症状に悩まされて(ここに)来ました。機内食を見ると一気に気分が上がりますね」

 今月14日午後5時、東京・品川区にある大規模会議場には100人の一般市民が集まった。アシアナ航空の韓国便の機内食を体験するイベントに参加するためだ。イベントは韓国観光公社とアシアナ航空が開催した。その名の通り、同航空の機内食を体験するわずか1時間のイベントだったが、参加者たちは20倍の競争率を勝ち抜いて集まった。東京在住のキムラ・マミさん(33)は「もともと2-3か月に1回はソウルや釜山、済州島など韓国のあちこちを訪れていたが、2年も韓国に行けていない」として「久しぶりに機内食のコチュジャン(唐辛子みそ)を目にして、韓国を旅行している気分」と話した。

 この日のイベントは、韓国観光公社の東京支社が昨年に続いて2年連続で開催した「韓国観光秋祭り2021」の一環として行われた。新型コロナウイルスの感染拡大によって日本人の韓国観光が全面的に中断される中、韓国旅行マニアに対し、間接的にでも韓国旅行を体験する機会を提供するという趣旨で開催された。

 この日、参加者たちはソウル行き飛行機の搭乗券と同じチケットを受け取り、機内と同じように並んだ座席に着席した。搭乗時と同じ機長のメッセージも流れた。アシアナ航空の防疫対策についての簡単な説明が終わると、制服に花柄のエプロン姿の客室乗務員たちが登場。カートを押しながらビビンバ、コチュジャン、韓国のり、ポテトサラダ、デザートの果物、シッケ(甘酒)からなる機内食を提供すると、参加者たちはそれぞれスマートフォンで慌ただしく料理を撮影した。

 韓国観光公社のチャン・ジンス東京支社長は「日本は、1年に何度も韓国を訪れる韓国旅行マニアの層が厚い」として「コロナで抑えられていた韓国旅行の需要がフツフツと沸き立っている状態」と話した。

 実際に日本のSNS(会員制交流サイト)では、チキン、トッポッキ、キンパプ(韓国のり巻き)など韓国料理をそろえ、韓国ドラマやコンサートを見ながら友人たちと楽しく過ごす「渡韓ごっこ」がはやっている。コロナで韓国に行けなくなったため、日本にいながらせめて気分だけでも韓国旅行に浸ろうというわけだ。100人限定で開催したこの日のイベントも、応募者は2000人近くに上った。韓国観光公社は昨年秋にも同様の機内食体験イベントを開催したが、このときも50人の定員に750人が応募し、競争率は15倍になった。このため観光公社は今年の定員をやや増員して約80人としたが、応募者が昨年の約3倍に増加したため、最終的に参加定員を100人まで増やした。

 応募者・参加者のほとんどは、20-40代のMZ世代(1980年代初め-2000年代初め生まれ)だった。韓国文化や韓国旅行に最も関心のある世代だ。この日も早朝6時まで徹夜で韓国ドラマ『Mine(マイン)』を見てからイベント会場を訪れたというシミズ・ユカさんは「韓国旅行が再開されたら、どんな値段であってもその日にすぐ行きたい」「旅行初日の最初の食事は現地の『ナッコプセ(タコ、牛の小腸、エビのピリ辛炒め)』にしたい」と話した。

 日本政府は、コロナのワクチン接種と陰性結果を活用する形で、日常生活の回復に向けた取り組みを徐々に進めている。今年中にワクチン接種と陰性証明がコロナの感染再拡大の防止に効果があると判断された場合、海外からの団体観光客の入国再開に向けた検討を開始する方針だ。このため、観光業界では来春から韓日間の観光が段階的に再開されるのではないかとの期待が膨らんでいる。

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