▲共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)常任顧問 写真=国会写真記者団

 今年3月9日の韓国大統領選挙で落選した共に民主党の元公認候補者の李在明(イ・ジェミョン)氏が6月1日の地方選挙と同時に行われる国会議員補欠選挙(仁川市桂陽区・乙選挙区)に出馬することを決めた。李在明氏は地方選挙総括選挙対策委員会の委員長も務め、選挙戦全般を率いる役割も担うという。大統領になりたいと言って大統領選挙に出馬した人物が、それから2カ月もたたないうちに政治の最前線に復帰し、国会議員になろうとしているのだ。韓国はもちろん、世界でも珍しいケースだろう。

 これまで、大統領選挙で落選した候補はしばらくの間政治の現場から離れることが多かった。大統領選挙落選の全責任は候補者本人にある。だから、政界復帰を図るにしても、相当期間は自粛して省察する姿勢を示してきた。李在明氏も大統領選挙落選後、「すべては私の至らなさのためであり、全責任は私にある」と述べた。ところが、それから1カ月で復帰説が出始めたと思っていたら、同党の宋永吉(ソン・ヨンギル)前代表がソウル市長選挙に出馬するのを受け、地域選挙区の国会議員補欠選挙への出馬を決めたのだ。

 常軌を逸した出馬をめぐっては、李在明氏が城南市長だった時代に発生した大庄洞土地開発不正事件や、京畿道知事時代に起こった法人カード不正使用事件に対する検察捜査に備えるためだという見方が多い。国会議員は現行犯でない限り、会期中は国会の同意なく逮捕・拘禁されず、会期前に逮捕・拘禁されても、国会の要求があれば会期中に釈放される不逮捕特権を持っている。現在、国会の過半数に当たる172議席を占める共に民主党はいつでもこの特権を利用することができる。「検察捜査権完全剥奪(はくだつ)」でも飽き足らず、国会議員の職を盾として利用するということだ。

 李在明氏があえて補欠選挙に出馬するというなら、政治的に見て「おひざ元」で自宅のある京畿道城南市盆唐区から出馬するべきだろう。大庄洞は同区内にある。李在明氏は大庄洞開発を「最大の治績」と言ってきた。本当にそうなのか、地域住民たちに審判を受けることこそ、潔くて名分のある振る舞いではないだろうか。ところが、何のつながりもない仁川市桂陽区から出馬するというのは、単に勝ち目があるかどうかだけを計算してのことだろう。同選挙区では過去20年間にわたり、補欠選挙1回だけを除き、すべて共に民主党の候補者が当選してきた。たった2カ月前、国の最高指導者になると言って大統領選挙に出馬した人が、たちどころに「防弾用」(自己保身のため)に議員の職に就こうとするとは、残念なことこの上ない。

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