文在寅政権
文在寅前大統領、「西欧が反中を育てた」と主張する本を推薦
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が9日、フェイスブックを通して、金希敎(キム・ヒギョ)光云大学教授の著書『チャンケ主義の誕生』を推薦し「メディアが伝えることがいつも真実なのではない」と記した。文前大統領は「本の推薦は内容に対する同意や支持ではない」としたが、韓国政界からは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の外交政策の方向性などを遠回しに批判したものだという声が上がっている。
文前大統領は同書について「挑発的な内容で、非常に論争を呼ぶもの」だとし「中国をどう見て、韓国外交が進むべき方向が何なのか、多様な観点を目にすることができる」と記した。また「理念に真実と国益と実用を調和させる均衡ある視角が必要」だとした上で「世の中の出来事をメディアの目ではなく自分で判断する目を持つことが非常に重要だということを最も感じさせる」とコメントした。文在寅政権の外交政策を巡って親中傾向だと批判してきた一部メディアに対する不満を遠回しに表したもの、という解釈が出ている。さらに、米中対立の中で韓米同盟を強化する現政権の外交政策に対する言及だという分析もある。『チャンケ主義の誕生』は「誰もが無造作に語る中国、誰も語らない中国」というサブタイトルの下、メディアなどが西欧の人種主義などを基に中国を反中ヘイトの対象に仕立て上げた-と主張している。著者は「中国共産党指導者の誰も権力を世襲しなかった」とし、70歳以上の者は党で職責を務めないとする規定を習近平主席がなくしたことについては「その規定で(習主席が)再び政権を取るわけではなく、政権を取ると約束したわけでもない。単に制度が作られただけ」と主張した。
文前大統領は5月9日に退任した後、慶尚南道梁山に移住して暮らしている。「退任後は忘れられた暮らしをしたい」と言ってきたのに、連日フェイスブックに写真と共に近況をアップしている。韓国政界からは、文前大統領が退任後の生活を伝えることは理解し得るものの、外交問題などに言及するのは適切でない、という指摘も出ている。「共に民主党」の関係者は「読んだ本を推薦しただけで、何らかの政治的懸案に関与したいという意味では全くない」と説明した。
キム・アジン記者