社会総合
親の生計も担う韓国の「ヤング・ケアラー」、推計約30万人
経済的に自立する前に、障害や疾病のある両親や祖父母の世話をしなければならない10代後半から20代半ばのいわゆる「ヤング・ケアラー」も、いつ「青年基礎生活受給者」(生活保護者)になるか分からない。「家族を世話する青年」とも呼ばれるこれらの人々は、世話を受けるのとは反対に、幼い頃から家族の面倒を見てきたため、学業や就職、創業など自身の未来設計については考えられる余裕がない。
そのため、代々貧困から抜け出すことが困難となる。地方のある船舶建造協力会社で労働者として働く20代のAさんは、以前大学に合格したものの、両親の離婚と祖母の病などで進学を諦めた。アルバイトを並行しつつ公務員試験の準備も考えたが、祖母の入院費と生活費で諦めるほかなかったという。Aさんは「現在勤務している仕事の給与水準に満足しているわけではないが、今すぐ必要なお金のことばかりを考えながら毎日生活しているためか、何かに挑戦するという意欲を失ってしまったようだ」と話す。
韓国国内にはAさんのような「ヤング・ケアラー」がどれくらい存在するのか、いまだに公式統計は出されていない。ただし2月、国会立法調査処(省庁内の部署)が英国やドイツなど海外の統計資料を総合することで、韓国国内に18万4000-29万5000人の「ヤング・ケアラー」が存在する可能性があるという推定値をはじき出した。このうちの多くがすでに基礎生活受給者か、まもなく受給者になる境遇に置かれているという。
「ヤング・ケアラー」たちは、国家レベルの支援策が必要と訴える。生計に対する責任を負わなければならないという経済的負担とともに、家族の責任を負わなければならないという心理的圧迫感と孤立感が大きいというのだ。2020年にオーストラリアで7725人の「ヤング・ケアラー」を対象にアンケート調査を行ったところ、73.5%が「社会的孤立感を感じる」と答え、73.8%は「精神的に苦しい」と答えた。
保健福祉部(日本の省庁に相当)が4月から1カ月間にわたって、全国の青年、青少年を対象に実態調査を行ったほか、ソウル市議会でも「ヤング・ケアラー」に対する支援条例を制定するなど、当局が対策作りに乗り出している。崇実大学社会福祉学部のノ・ヘリョン教授は「町役場や福祉センターなど、地域レベルでヤング・ケアラーに対する常時支援体制を確立するとともに、ケアと生活を両立できるよう町単位で住民同士が互いに連帯できるような組織体系が必要だ」と促した。
カン・ウリャン記者