アフガニスタンとパキスタンでテロを繰り返すイスラム武装勢力「イスラム国ホラサン州(IS-K)」が「習近平の中国の夢は中国帝国主義の白昼夢に過ぎない」と主張し、中央アジア・アフリカなどの一帯一路プロジェクトを脅かす意志を表明した。

 今年9月、IS-Kが発刊する英字誌「ホラサンの声(Voice of Khurasan・VoK)」は、中国国内の少数民族である新疆ウイグル族のムスリムに対する人権弾圧や、中国のグローバル経済膨張政策を非難した。

 IS-Kは、アフガニスタンでイスラム神政国家を立てることを目標にしている。ホラサン(ホラーサーン)とは、歴史的にイラン北東部、トルクメニスタン南部、アフガニスタン北部地域を通称する名称で、「太陽の地」という意味だ。昨年8月に米国がアフガニスタンから慌ただしく撤退した際、カブール空港で自爆テロを起こし、民間人170人と米軍関係者13人を殺害したのもIS-Kだった。

 これに関連して米国の外交・安全保障誌「フォーリン・ポリシー」は19日、公式ウェブサイトで「中国が中東・中央アジアで経済的影響力を拡大していることを受け、2017年以降中国に対し沈黙していたISが好戦的な修辞を更新した(major renewal of war rhetoric)」と分析した。

 イラク・シリアで始まったISは、最盛期の2014年7月に指導者のアブ・バクル・アル・バグダディ氏が、ムスリムの人権を踏みにじる20カ国中の第1位に中国を挙げた。ISは2015年に中国人とノルウェー人を誘拐・殺害し、2017年にはパキスタン南西部のバルチスタン州で中国語を教えていた若い中国人夫婦を誘拐・殺害した。バルチスタン州は、中国が570億ドル(現在のレートで約8兆4000億円。以下同じ)を投じて道路と港湾を建設する「中国・パキスタン経済回廊」の核心となる地域だ。

 また同年、ウイグル族出身のIS構成員がイラクで「抑圧されている人々の復讐(ふくしゅう)のため、血が川のごとく流れるようにする」と脅している動画も公開された。しかし2018年からは、中国について公に言及することはなくなった。

 「フォーリン・ポリシー」誌は「『ホラサンの声(VoK)』の記事は、イスラムテロ集団の間で中国に対する関心が、ムスリム弾圧という宗教的観点から、米国・ロシア・英国のようにグローバルな覇権を追求する中国帝国主義へと移っていきつつあることを意味する」と分析した。VoKの記事は、中国の一帯一路政策を、かつて英国の植民政策の先頭に立った東インド会社と同じ「現代版帝国主義膨張」と見なした。

 他方、IS-Kは「中国は西側と違ってソフトパワーも弱く、対米グローバル競争、周辺国との地域的競争の構図により、グローバルな覇者になるには限界がある」とも主張した。また、米中対立の構図の中で、ISが中国の利益を攻撃できることを示唆した。

 IS-Kは記事で「野蛮な中国の無神論者たちは、グローバル覇権に有利な文字的利点も持ち合わせていない」とし「臆病な中国の無神論者たちに、西側とISを同時に相手にする度胸はあるか」と問うた。

 またIS-Kは「中国の物質主義・重商主義的帝国主義」を、かつて短命に終わったモンゴルの西進になぞらえ「中国の悪党ども(Chinese thuds)も、モンゴルのように同じ形で失敗するだろう」と主張した。

 IS-Kは、中国の一帯一路プロジェクトを攻撃する案に関して「中国企業がイスラム戦士の攻撃を嫌ってモザンビークでの事業をやめた事実」を想起させ「数十兆ドル(10兆ドル=約1480兆円)かかる『一帯一路』が適切な海外ビジネス環境を整えられず、巨額の損失を被ったときにどう感じるか、罪のないウイグル族ムスリムの血にまみれた無神論者たちに尋ねる」「中国はカリフの戦士たちの鋭い刃を食い止めることはできないだろう」と記した。

 「フォーリン・ポリシー」誌は、これに関して「中国の夢は西側からだけでなく、アフガニスタンなど複数の地域に存在するISからも挑戦を受けるものとみられる」との見方を示した。

李哲民(イ・チョルミン)国際専門記者

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