▲先月28日、大阪府にある関西国際空港の到着ロビーを埋め尽くした韓国人観光客たち。写真提供=読者

 6日午前10時30分、東京にある有名ブランド店「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(プリーツプリーズ イッセイミヤケ)」の入口。韓国人観光客クォンさん(38)は開店前から並んで待っている十数人が全員韓国人であることを知って驚いた。先週、旅行で東京に行ってきたというキムさん(31)も「(東京都内の展望施設)SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)に行ったら、並んでいた人の約半分が韓国人観光客だった」「路地を歩いている時も韓国人の団体観光客たちに会った」と言った。

 日本の全国各地を韓国人観光客が埋め尽くし始めている。日本では今年10月、ビザなし(査証免除)の自由旅行が許可されて入国制限が解除となったところに、記録的な円安も重なり、日本に行く韓国人観光客が急増しているのだ。東京や大阪といった有名観光地はもちろん、地方を訪れる韓国人観光客も増え続けており、20-40代の間では「今、自分以外はみんな日本」という言葉がはやっているほどだ。

■記録的円安で…「自分以外はみんな日本」

 先月中旬、大分県の由布院へ3泊4日の旅をしてきたという主婦キムさん(45)は帰国する時、「東京ばな奈」や「ひよ子」などおみやげ用の菓子を買おうと福岡空港の免税店に立ち寄ったが、売店に商品が一つもなくて慌てたという。「同じ飛行便に乗る韓国人たちが既におみやげ用の菓子を全部買って行ってしまっていたんです」と笑った。

 日本政府観光庁によると、今年10月に日本を訪れた外国人観光客は49万8600人だったという。これは前月比で2.4倍の増加だった。ビザなし入国が許可されたおかげだ。このうち韓国人は12万2900人で最も多く、以下、米国・香港・台湾・タイの順だった。それでも、新型コロナウイルス流行前に比べるとまだかなり少ない数字だ。2018年に日本を訪れた韓国人観光客は745万人で、中国(838万人)に次いで2番目に多かった。1カ月当たりの平均では62万人となる。日本政府観光庁の関係者は「入国制限を解除するや、すぐに韓国人観光客が新型コロナ前の20%程度を回復したものだと考えればいい」「この2カ月間で人数が急激に増えた」と語った。

 最近では日本の地方の小都市で「1カ月滞在」を試みる観光客も増えている。各種の旅行関連コミュニティ-・サイトには「夕方に大型スーパーやコンビニエンスストアで買い物をするのが楽しいし、全体的に物価が安くて1カ月暮らしてみる『かい』がある」といった体験記が続々と投稿されている。韓国国内で物価が急上昇している反面、日本では急激に円安が進んでいるため、比べてみると日本の物価が安く感じられるのだ。

 円への両替額は1年で7倍も増えた。今年10月の4大市中銀行(KB国民銀行・新韓銀行・ハナ銀行・ウリィ銀行)の個人によるウォンから円への両替額は103億1782万円(約992億ウォン)で、昨年10月に14億7562万円に過ぎなかったのと比べると、なんと7倍に増えた。為替差益を狙って投資しようという人々や、旅行で日本へ行くために円を買おうという人々が増えているためだ。一部の銀行営業店では円不足現象まで発生している。

 日本への飛行機便も増えている。大韓航空は12月に仁川-札幌、仁川-沖縄路線を再開し、日本路線を週に往復88便まで増やした。アシアナ航空も大阪・福岡・名古屋路線を増便した。近く日本路線を週に往復66便まで増やす計画だ。

■拡大する観光収支赤字

 韓国人観光客が日本をはじめ海外に続々と向かっていることから、済州島の一部特級ホテルを除けば、国内の主な観光地の宿泊施設は最近予約が埋まらなくなってきている。今年夏の繁忙期は予約率が90%に達していた江原道の有名ペンション・ホテルも最近は客室予約率が70%まで下がっている。匿名希望の江原道にある特級ホテル関係者は「昨年、新型コロナによる(国内旅行)特需だったころに比べると確かに客が減っている。クリスマス・パッケージ・ツアーも例年ほど売れていない」と語った。

 このため、観光収支赤字は毎月膨らんでいる。文化体育観光部の観光知識情報システムによると、今年1月に2億4690万ドル(約336億7200万円)だった観光収支赤字は、8月には5億9920万ドル(約817億1920万円)に増えたとのことだ。

宋恵真(ソン・ヘジン)記者

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