▲写真=昨年11月2日、ソウル市瑞草区のaTセンターで開催された2022年サムスン電子協力企業採用博覧会を訪れた求職者たちが入場手続きをしている。(NEWSIS)

 今年、韓国企業が最も重要視する人材の徳目は、責任意識であることが分かった。大韓商工会議所が1月30日、国内売上高トップ100大企業がホームページなどに公開した人材像を分析し、発表した結果だ。

 責任意識を挙げた企業が67社で、続いてチャレンジ精神(66社)、コミュニケーション・協力(64社)の順だった。2008年から5年ごとに実施されている同調査で、責任意識が1位に上がったのは今回が初めてだ。最初の調査が行われた2008年は、創意性、13年はチャレンジ精神、18年はコミュニケーション・協力がそれぞれ企業の考える最高の人材徳目だった。

 責任意識が企業の望む人材の最高徳目として浮上したのは、自分の権利に対して声を高めるZ世代(1990年代半ば-2000年代初め生まれ)の出現による変化によるもの、と解釈される。大韓商工会議所は「企業が人材の中心へと浮上したZ世代の要求に合わせて、水平的組織、公正な補償、不合理な慣行を除去する努力などを傾けながらも、Z世代にもそれ相応の組織と業務に対する責任意識を要求しているもの」と分析する。

 大韓商工会議所のユ・イルホ雇用労働政策チーム長は「1990年代生まれが本格的に経済活動に参加することにより、各大企業の人事チームでは新入社員が本人たちの権利に対して声を上げながらも、それにふさわしく責任を取る姿勢を身に付けているかを重要視している」とし「就職寒波に打ち勝つためには、変化する企業の人材像をしっかりと把握し、これに合わせて本人の長所を引き出していく必要性がある」と強調する。

 最近、大企業の役員の間では「3ヨ」注意報という言葉が流行っている。「3ヨ(ですか)」とは、上司の業務指示に対し「これをですか?」「私がですか?」「なぜですか?」と問い返してくる若い社員たちの反応を指す新造語だ。大声を出さずに指示に従っていた既成世代と明確に区分される新しい世代の出現に、戸惑いを隠せない企業の雰囲気を反映している。各大手企業の人事チームも対応に頭を抱えている。一部の大企業の人事チームは最近、役員を対象とした教育で「3ヨの意味と模範回答」と題する資料をまとめ、配布している所もある。

 韓国国内5大企業グループの人事チーム長は「以前は新入社員に組織に対して望むことを何でも素直に話してほしいと要請しなければならなかったが、最近の新入社員は自分の考えを明らかにすることに戸惑いがない」とし「一方で、引き受けた責任に対してはそれほど最善を尽くしているようには見えない、といった評価があり、新入社員を採用する際には、こうした部分に最も気を使う」と胸中を吐露する。

 一例として、SKグループではボーナスに不満を抱いた入社4年目のSKハイニックスの従業員が最高経営責任者(CEO)に釈明を要求する内容のEメールを会社の全役職員宛てに送信したほか、サムスン電子のある従業員も本人が体験した自社製家電製品の配送遅延に対する不満をハン・ジョンヒ副会長宛てにEメールで送信し、話題となった。

 責任意識の浮上とは対照的に、2018年に2位だった専門性は、今年の調査では6位へと下がった。職務中心の採用と随時採用の拡散で、大卒者の職務関連の経験と知識が上方平準化した影響とみられる。

 一方、業種別に望まれる人材像も少しずつ違いを見せた。製造業は、グローバル・サプライ・チェーンの再編、デジタルへの転換、景気低迷など、外部の不確実性が増大したことにより「チャレンジ精神」を携えた人材を望むという回答が多かった。金融・保険業では従業員の横領、背任などの金融事故が相次いで発生し、道徳性を強調する「原則・信頼」を従業員が備えるべき最優先課題とした。顧客満足を追求する卸・小売業、サービス業、そして貿易運輸業は、やはり責任意識を重視するほか、建設業は現場の安全レベルでさまざまな関係者とコミュニケーションすることが重要になったため、「疎通・協力」を最優先課題としていることが分かった。

シン・ウンジン記者

ホーム TOP