▲ソウル汝矣島の国会本庁前の階段で韓国野党・共に民主党、革新系野党・正義党、進歩党主催で「岸田日本首相来韓関連市民社会および政党立場発表共同記者会見」が開催された。/ニュース1

 今月7日に予定されている韓日首脳会談と関連して、韓国野党・共に民主党は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対し「日本の岸田文雄首相との会談で『独島領有権問題』に言及せよ」と強く要求している。歴代の韓国政府は独島領有権争いの存在そのものを認めてこなかった。独島は法的・歴史的・実効的に明らかに韓国領土であるため、外交交渉や司法での解決の対象にはならないからだ。そのため首脳会談で独島問題が議題になることは日本の右翼が期待していることでもあり、「独島問題を首脳会談で議題にせよ」という野党の主張は外交的に自害行為となる。専門家は4日「独島を通じて反日、反韓感情を刺激し、国内の政治的利益だけを追求するという点で共に民主党と日本の右翼は共生関係にある」と指摘した。

 政治家を含め韓国国民が独島を訪問するのは当然のことだ。これを問題視する日本政府と右翼からの口出しは相手にする必要さえない。しかし韓日首脳会談を目前に控えた先日、共に民主党の田溶冀(チョン・ヨンギ)議員が太極旗を持って独島訪問ショーを行ったのは別問題になる。日本政府と右翼はこれに一斉に抗議し、独島の紛争地域化に政治利用した。梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「独島は韓国がすでに実効支配しているので、国際的な問題となる余地を最初から遮断することが国益につながる」と指摘する。一般国民の独島訪問と国会議員の政治争点化は厳然と異なるものであり、これは日本が口だしして紛争地域化する根拠を与えるのにプラスになってしまう。朴教授は「今回のような事例が何度も続けば日本だけが有利になるだろう」と懸念を示した。

 2012年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が現職の大統領としてはじめて独島を訪問した際、共に民主党はこれを問題視した。共に民主党のイ・ヘチャン代表(当時)は「外交事案をサプライズショーに利用している」「成熟した民主主義国家の指導者であれば、最も避けるべき非常に悪い統治行為だ」と批判した。当時の文在寅(ムン・ジェイン)候補陣営も「大統領選挙を前に突然独島を訪問したのはその本心を疑わせるに十分」と指摘した。韓日首脳会談を前に独島をサプライズ訪問するなど、問題の拡大に熱を上げるという点では今の野党と非常によく似ている。11年前に大統領の独島訪問を批判したのが共に民主党だが、今回は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の対日外交を攻撃するため再び独島を政治利用しているのだ。

 田議員はこの日国会で会見を開き「尹大統領は首脳会談で独島問題を正確に取り上げ、日本に対して独島妄言の再発防止を要求すべきだ」と訴えた。田議員は「普段から不義を見れば我慢できないと言っていた尹大統領はどこに行ったのか」「日本が独島について妄言を繰り返す理由は、屈辱外交の結果だからだ」とも主張した。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表も党の公開会議で「日本は独島領有権主張を露骨化している」「尹錫悦政権は日本に対して無限に与えるだけの外交を行っている」と批判した。共に民主党・正義党・進歩党や市民団体などはこの日国会の敷地内で集会を開き、独島問題についても取り上げた。共に民主党の金相姫(キム・サンヒ)対日屈辱対策委員長は「日本は韓国が独島を不法占拠し、領土主権の侵害と主張している」「尹大統領は今回の首脳会談で屈辱的対日外交を全面的に再検討せよ」と要求した。

 野党による独島の政治利用は日本の右翼と共通点がある。今年3月に日本の東京で開催された韓日首脳会談直後、日本の一部メディアは「首脳会談で独島問題が取り上げられた」と報じた。韓国大統領室はこれを直ちに否定したが、日本の右翼とメディアは「独島問題が首脳会談で議題になった」と既成事実化した。韓国の共に民主党も「亡国的野合」「屈辱外交」などと反発した。産経新聞は「岸田首相は韓国の不法占拠が続く独島問題を個別に取り上げはしなかった」と報じた。尹大統領が強制徴用問題の解決策を提示したことについても産経新聞は「徴用問題の次は独島問題」「韓日関係の改善に前向きな尹錫悦政権の任期中に独島領有権を強く訴えるべきだ」と主張した。

 かつて駐日大使を務めたシン・ガクス氏は「韓国の共に民主党と日本の右翼は、独島問題を取り上げることで得る利益が正確に一致する」「実際に韓日関係の進展よりも国内の政治的利益を優先する点で敵対的共生関係と言えるだろう」とコメントした。

ウォン・ソンウ記者

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