北朝鮮が31日朝に「軍事偵察衛星」を打ち上げたことに関連し、ソウル市が発令した警戒警報の内容が論議を呼んでいる。この警報は後に「誤発令」だったとして解除されたが、危機的状況を伝える警報に基本的な避難情報が書かれていなかったというのだ。

 ソウル市が携帯のショートメッセージで送った緊急災難(災害)メッセージには「〈ソウル特別市〉今日6時32分、ソウル地域に警戒警報発令。国民の皆さまは避難の準備をして、子どもや高齢者が優先的に避難できるようにしてください」と書かれていた。スペースを含めて90文字で、ミサイル発射などの情報は書かれていなかった。

 その10分後、韓国行政安全部(省に相当)は、この警報が誤発令だったとして訂正メッセージを送った。ソウル市も午前7時26分に警戒警報の解除メッセージを送り、このときに初めて「北朝鮮のミサイル発射によって緊急案内メッセージが発送された」と理由を説明した。

 SNS(交流サイト)などでは、警報メッセージに基本的な情報が抜けているとの声が相次いだ。「理由も知らせずに、とにかく逃げろって何だよ」「(危機が)本当だったらどうする気だったのか」「ミサイル発射なのか地震なのかも書かれていない。どういう状況なのか伝えてくれないと、防空壕に行けばいいのか運動場に行けばいいのか分からない」「警報メッセージが来てから自分たちで避難情報を調べなければならないのか」などの反応が寄せられた。

 警報メッセージが送られた直後から、ポータルサイト「ネイバー」ではアクセス障害が発生した。市民が状況をネットで検索しようとネイバーに殺到したのが原因とみられる。

 又石大学消防防災学科のコン・ハソン教授は、チョソン・ドットコムの取材に対し「基本的な情報が欠落した災害メッセージは、逆に混乱を増大させる恐れがある」とした上で「緊急地震速報が頻繁に発出される日本は、災害メッセージに近くの避難所や行動要領などが細かく書かれているが、韓国は災害警報に基本的な情報が不足している」と指摘した。その上で「戦争に関する警戒警報も同様なのではないか」と疑問を投げかけた。

 日本政府もこの日午前、沖縄県に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令した。メッセージには「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難して下さい。(総務省消防庁)」と書かれていた。警報を発令した理由と避難場所が簡潔に説明されていた。

 ソウル市の関係者は、同市が送ったメッセージの情報が不十分との指摘に「今日は標準の文言を使ってメッセージを送ったが、修正することは可能」としながらも「入力文字数に制限があるため、避難要領までは入れられない。そのような内容は普段の民防衛(韓国で行われている有事に備えた訓練)で案内している」と釈明した。

チョソン・ドットコム/朝鮮日報日本語版

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