▲写真=聯合ニュース

 西太平洋の島国パラオのウィップス大統領は今月12日に福島を訪問した。福島汚染水の放流設備が試験運転を開始した中で、福島原子力発電所や水産物加工工場などを4日間かけて視察した。先月27日にはパラオを含む太平洋の18カ国が参加する「太平洋諸島フォーラム(PIF)」で「核汚染の潜在的脅威がある」などと汚染水放流に対する懸念の声が出たことを受け、ウィップス大統領自ら現場の視察に出向いたようだ。

 一方で米国はカリフォルニアなど西部の各州で福島汚染水が放流される太平洋と接しているが、この問題については何も考えていないのかと思えるほど反応がない。米国務省のパテル副報道官が先月の記者会見で「具体的に(コメントする)内容はない」と語ったのが全てだ。これは「米国は日本の福島放射能汚染水の安全性について何らかの懸念を持っているか」との質問に答えたもの。

 福島汚染水の放流を前に韓国では相変わらず大きな騒ぎとなっているが、太平洋に接する他の国々の反応は大きく分かれている。韓国や中国など東アジア諸国や太平洋の島国からは懸念の声が出ている一方で、汚染水が最初に到達する米国やカナダなど北米やシンガポール、マレーシアなど東南アジア諸国は特別な反応を示していない。

 福島は日本の東側にあるため、汚染水は北東に向かう黒潮海流に乗って北米に最初に到達する。その後は米西部を南下し、北赤道海流に乗って西に向かい、4-5年後にアジアに戻る可能性が高い。つまり北米が最初に影響を受けるわけだが、一部環境団体を除いてはさほど問題になっていない。1993年にロシアが東海の沖合に900トンの核廃棄物を投棄した際「デリケートな環境問題でリーダーシップを発揮する特別な責任がある」などと非難したのとは対照的だ。

 米国などは「厳格な処理の過程を経たものと聞いている」として国際原子力機関(IAEA)の検証結果を信頼する立場だ。IAEAは福島汚染水放流について「放射性核種などの危険な物質は有意なレベルで検出されていない」とする中間報告書を今月1日に公表した。同時にシンガポールやマレーシアなど東南アジア諸国でもほとんど問題になっていない。

 放流の影響を最後に受ける赤道付近の太平洋諸国は、汚染水が未来において環境問題を引き起こした場合、主要産業である観光や漁業に及ぼす悪影響を警戒する声が出ている。今月3日にシンガポールで開催された国際安全保障フォーラムではフィジーの外相が「汚染水が安全なら、日本はなぜ日本国内に置かないのか。われわれは非常に心配している」と非難し、米国領北マリアナ諸島(サイパン島、テニアン島、ロタ島など)の政治家たちは今月3日に日本で国際法律家協会の討論会に参加し「われわれは人口は少ないが、協力するなら(放流)計画を止めることができる」と圧力を加えた。

 中華圏諸国の中でも放流をけん制する声は根強い。中国は「福島原発放流計画は危険で】あり反対する」との立場を堅持しており、主に国営メディアの記事を通じてメッセージを出している。台湾は昨年の3月11日に続き今月12日にも福島に専門家を派遣し、現場で検証を行った。

 その一方で日本による汚染水放流に反対の立場を示してきた太平洋の島国などでも、実際に現場を訪問し検証を行った後は多少柔軟な態度を示す傾向にある。福島を訪問したパラオのウィップス大統領は今月14日に東京で岸田文雄首相と会談し「福島汚染水放流の安全確保に向けた日本の真摯(しんし)な努力を理解する」と述べた。台湾行政院原子力委員会(AEC)は1日「福島原発から排出される(放射性物質)トリチウムを含む排水は約4年以内に台湾領海に到達すると予想されるが、濃度が検出限界以下のレベルになるため、安全性の問題はないだろう」とのコメントを出した。慶煕大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授は「排出される汚染水に残る危険物質が少ないということもあるが、たとえ有害だとしても数年かけて海流で希釈されるので、汚染水が太平洋の島国や韓国に影響を及ぼすことはないだろう」と説明している。

ユ・ジェイン記者

ホーム TOP