▲写真=UTOIMAGE

-補助金の実効性はどれほどあるのか。

 「熊本県に進出したTSMCは当初、28ナノメートルの工場を建設しようとした。経済産業省に『補助金を条件に12ナノメートルのラインを要求しろ』と圧力をかけた。TSMCはさらに先端ラインへと変更した。(TSMCの第2工場は)シングルナノ工場になるだろう」

-新生企業ラピダスは2027年に2ナノメートル半導体の生産を目標としている。

 「日本にも希望が生まれている。 日本は回路線幅40ナノメートル程度の生産拠点(ファウンドリー)しかなかったが、2ナノメートルへの挑戦は日本としては夢のような話だ。2ナノメートル技術を保有する米IBMと技術移転契約を結び、欧州の半導体最高技術研究機関であるIMECとも提携した。オランダの先端半導体設備メーカーASMLも協力する。世界の『トップ企業』と連携する戦略だ」

-日本の半導体人材はあまりに不足している。

 「その通りだ。全世界で活躍する日本人技術者『トップ100』のリストを手に、半導体ドリームを共にしようと求め、相当数が加わった。まさにこの部屋でIBMと直接会い、彼らが本物だと感じ、挑戦することにした。最初はIBMがそんなに優れた技術を持っているなら、なぜ自分でやらないのか、だまされるのではないかという意見もあった」

-日本は過去に半導体で惨敗した。

 「世界の半導体市場で一時はシェア50%だった日本は、21年には10%まで後退した。失敗の要因はいくつかある。米国が力で押さえつけたこともあるが、日本は日本企業同士だけで連携しようとした。日本の家電企業にとって、半導体は事業部門の一つにすぎなかった。失敗から学んだ。現在の戦略は世界のトップと連携することだ。ラピダスのような独立した半導体企業が主導する。補助金支援に関する法律も変えた。過去には研究開発だけが対象だったが、半導体工場にも支給できるようにした」

-半導体がなぜそれほど重要なのか。

 「電気で動く物は全て半導体が支配する。データセンターは半導体の大きな塊であり、人工知能(AI)も半導体なしでは動かない。今後世界は「半導体供給国」と「供給を受ける国」に分かれる。供給国になれなければ、結局は敗北する。日本が(半導体競争で)勝てるかは分からないが、やらなければただ負けることになる」

-地政学的要因もあるのか。

 「経済安全保障は半導体にかかっている。コロナ禍で日本の自動車生産ラインは小さな半導体の供給減が原因でストップした。半導体の威力を目の当たりにして、国家のリスク要素であることも知った。経済安全保障推進法を制定した。半導体サプライチェーンは(日本のように)地政学的リスクのないところに構築すべきだ」

-結局中国脅威論なのか。

 「最初は皆知らなかった。コロナの際、日本の医療現場で医療用マスク、手袋、ガウンのうち一つでも供給が止まると医療崩壊が生じることに気づいた。つまり日本を殺そうと思えば、ミサイルがなくても、医療用マスク一つでも可能だ。中国への依存度が高すぎると、中国はそれを経済兵器として使うだろう。中国は台湾をパイナップルで、フィリピンをバナナで、オーストラリアをワインで脅かしているのではないか。半導体をどのサプライチェーンに依存するかという問題は、国家の存亡に関わる問題だ」

-逆転可能な技術が日本にあるのか。

 「日本の未来へのジャンプはNTTが保有している『光半導体』技術だ。2ナノメートルより先の半導体微細化を議論する際、回路に電気を通す現在の方式の限界が問題になる。今後は光と電気を融合する半導体を作っていく。ラピダスにNTTが出資した理由がそれだ。この分野では日本のNTTが最高の技術を持っている」

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

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