▲写真=UTOIMAGE

 「半導体を支配する国が世界を支配する時代が来る。日本がその時代に挑戦もせず、そのまま退くことはない」

 自民党の半導体戦略推進議員連盟の甘利明会長(73)は6月16日、衆議院議員会館で取材に応じ、「2年前に回路線幅40ナノメートル水準の半導体しか作れなかった日本が2ナノメートルに挑戦していることは、夢を見ているような話だ。日本にとって最後のチャンスだ」と述べた。2ナノメートルはまだ全世界の誰も実現していない半導体製造技術だ。現在の最高技術は3-5ナノメートルであり、40ナノメートルはそれより10年以上遅れている技術だ。日本は昨年11月、トヨタ、ソニー、NTTなど大手企業を集め、先端半導体企業「ラピダス」を発足させ、2027年に2ナノメートルの先端半導体を生産することを目指している。

 日本政界の影の実力者「3A(安倍・麻生・甘利)」の一人でされてきた甘利会長は2年前、安倍晋三元首相、麻生太郎元首相とともに自民党議員100人が参加する「半導体戦略推進議員連盟」を立ち上げた人物だ。発足から1カ月後、経済産業省は「2030年には日本の半導体の世界シェアはゼロになる」という衝撃的な報告書を発表した。これ以上退路はないという切迫したメッセージだった。 報告書には「日本の地政学的潜在力が明らかになってきている」という点も盛り込まれた。米中対立という地政学的危機が台湾と韓国に集中した半導体産業を日本中心に再編する機会になり得ると指摘したものだ。

 半導体議員連盟は財務省を説得して2兆円の半導体補助金予算を確保し、日本はこの2年間、それを活用し、米国、台湾、韓国など海外の半導体大手企業を相次いで誘致した。これら企業による対日投資額だけで2兆円を超える。

 甘利会長は「日本は半導体で完全に韓国、台湾に後れを取っているが、希望を持って挑戦する」と述べた。韓国政界はサムスン電子、SKハイニックスだけを信じ、まともな半導体支援策も戦略も打ち出せず、世論のせいで一部半導体工場は着工もできないでいる。その間に日本は半導体復活計画を着実に実行しようとしているのだ。

 2021年5月初め、甘利議員は安倍、麻生両元首相に電子メールを送った。「今後の世界は半導体が支配する。我々は遅れた日本の半導体を国家戦略で共に蘇らせなければならない」という内容だった。連休期間だったが安倍元首相は「半導体専門家ではないが、半導体がどれほど重要かは知っている」と即答した。麻生元首相は翌日、「乗った」というたった一行の返事を送ってきた。日本政界の実力者が「日の丸半導体の復活」で意気投合したのだ。連休直後、かつてない規模の議員連盟が発足した。安倍、麻生元首相は特別顧問に、甘利自民党元幹事長は会長に就任した。顧問名簿には岸田文雄現首相も名を連ねた。甘利会長は16日、本紙とのインタビューで、「日本の政治家が政治主導で、以前失敗した『日の丸半導体』に再挑戦するのかという批判世論もあることは承知している。しかし今は数十年に一度のチャンスだ」と話した。

 以下は甘利会長との一問一答。

-日本にとっては最後の復活のチャンスだというが。

 「現在の半導体技術の構図がこのままならば、日本はTSMCやサムスンを追随できないだろう。しかし、新型半導体である3D(3次元)半導体が登場し、イメージセンサーと演算半導体が統合されるなど、今までになかった半導体時代が到来している。変革期だ。昨日の王座にあった者があすも王座にいるとは限らない時代に入った。新しい半導体時代は再び同じスタートラインで始まる。日本が半導体競争に参加しないことは、最初から敗北するのと同じだ。『勝てるか』ではなく、『やらねばならない』ということだ」

-復活資金として補助金予算2兆円を確保したというが。

 「官僚だけに任せて(数兆円の)投資ができるだろうか。政界が財務省を説得した。2兆円でも足りない。財務省は今回限りと思っているが始まったばかりの段階だ。今後10年間、官民で10兆円以上を半導体に投入しなければならない」

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