▲1991年8月に江原道高城郡で開催された「第17回世界スカウトジャンボリー(高城ジャンボリー)」のキャンプ地で、パラソルを設置する外国のスカウト隊員たち。写真=聯合ニュース

 1991年に江原道高城郡で開催された「第17回世界スカウトジャンボリー(以下、高城ジャンボリー)」の予算は98億ウォン(約10億円)、今年、全羅北道扶安郡セマングムで開催された「第25回世界スカウトジャンボリー(以下、セマングム・ジャンボリー)」の予算は1171億ウォン(約127億5000万円)以上だ。セマングム・ジャンボリーの方が単純計算で12倍、物価上昇率を考慮すれば4倍多く使ったことになる。だが、高城ジャンボリーは「1988年のソウル・オリンピックに続く成功」と絶賛されて終わった反面、セマングム・ジャンボリーは「天文学的な額の税金を使って韓国の体面を汚しただけだった」と激しい非難を浴びている。32年という歳月を経て韓国の行政力・準備力がむしろ後退したということだ。

 高城ジャンボリーも蒸し暑い1991年8月8日から16日まで、雪岳山の蔚山岩前にキャンプ地が設けられた。天気は当時も変数だった。開幕式前に大雨に見舞われ、キャンプ開始当初は風雨で全テントの3分の1が倒れるなどの問題が発生した。しかし、関係者らがスカウトのモットー「そなえよ つねに(Be Prepared)」の精神に基づいて問題を解決し、1件の事故もなくジャンボリーを終えた。当時のスカウト隊員たちは「ロッククライミング・パラグライダー・弓などさまざまなプログラムのおかげで時間が経つのも忘れた」「体じゅう汗まみれだったが涼しい海風に当たった瞬間、本当に幸せだった」と手記に書いた。

 準備期間も6年間で同じだった。しかし、注いだ誠意と集中力が違っていた。高城ジャンボリー組織委員長を務めた当時の金錫元(キム・ソクウォン)韓国ボーイスカウト連盟総裁=双竜グループ元会長=は1985年のミュンヘン・スカウト総会で韓国が第17回世界ジャンボリー開催地に決まって以降、「雪岳山のキャンプ地を数え切れないほど訪れ、あらゆる変数を検討した」と語った。当時はスカウト連盟と江原道が両軸となってジャンボリー組織委員会を構成し、韓国中央政府からは体育青少年部のパク・チョルオン長官が施設建設や道路・交通・通信インフラ拡充に当たったため、進行が速やかだった。3拍子がピタリと合い、スウェーデンのカール16世グスタフ国王ら国賓級の人々もキャンプ後、サムズアップした。

 一方、今年の世界スカウトジャンボリー会場となった全羅北道扶安郡セマングムは日陰のない干拓地だ。2017年の開催地決定前、専門家らは猛暑対策を懸念し、「全羅北道に招致するなら、茂朱郡など智異山に近い地域の方が適切だ」と指摘したが、地元政治家らの「セマングム開発のためにはジャンボリー招致が必要だ」という強硬な主張にかき消されてしまった。そしてこの6年間でリハーサルを一度もできないまま、客人を迎えることになった。

 役職は抜かりなく分け合った。セマングム・ジャンボリー組織委員会は計5人(女性家族部・行政安全部・文化体育観光部の各長官、韓国スカウト連盟総裁、地元選出国会議員)で構成された。5人の共同委員長体制は現政権で決定されたもので、各部処(省庁)の縦割り行政問題などが発生することを考えれば、交通整理する人が必要だった。主務部処の女性家族部長官らもセマングムの現地を訪れたのは2017年以降で1-2回にとどまり、同部の金賢淑(キム・ヒョンスク)長官が今年3回現場を訪れた。そして、騒動になるや、韓悳洙(ハン・ドクス)首相がセマングムで便器を自ら磨き、公務員の発奮を促すに至った。

 韓国政府は今月12日にジャンボリーが終わり次第、組織委と全羅北道、扶安郡、女性家族部など関係機関と部処を対象に責任追求のための真相調査に着手する方針だ。ジャンボリー実行を担った全羅北道など地方自治体に対する国務調整室監察と監査院監査の必要性が取りざたされており、調査結果によっては検察の捜査が行われる可能性もある。

 与党関係者は、ジャンボリーで問題発生の一次的な責任は執行機関である全羅北道にあることを明言しながらも、女性家族部も問責対象だという考えだ。今後、行政監査・職務監査または監査院監査などを通じて、全羅北道がジャンボリー準備過程で韓国中央政府から受け取った予算を放漫に支出していなかったかなどを詳しく調べる方針だ。与党・国民の力の金起炫(キム・ギヒョン)代表と尹在玉(ユン・ジェオク)院内代表は「責任の所在はジャンボリーが閉幕し次第、徹底的に追求する」と口をそろえた。野党・共に民主党は「ジャンボリーでの問題発生の責任は現政権にある」と繰り返し主張、真相究明のため「ジャンボリー国政調査」を推進する考えだ。

ヤン・ジヘ記者、キム・ウンジュン記者

ホーム TOP