▲写真=宋哲鎬元市長と黃雲夏議員

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台による蔚山市長選介入事件に対する一審が11日に結審した。検察が起訴してから3年8カ月を要した。

 同日の論告求刑公判で、検察は主犯格の宋哲鎬(ソン・チョルホ)前蔚山市長に懲役6年、黄雲夏(ファン・ウンハ)元蔚山警察庁長(現・共に民主党国会議員)に懲役5年、白元宇(ペク・ウォンウ)元青瓦台民情秘書官に懲役3年をそれぞれ求刑した。また、韓秉道(ハン・ビョンド)元青瓦台政務首席秘書官、朴炯哲(パク・ヒョンチョル)元民情秘書官、李震錫(イ・ジンソク)元大統領秘書室国政状況室長についても懲役1年6月をそれぞれ求刑した。一審判決は11月29日に下される。

 問題の事件は2018年の統一地方選で文在寅政権の青瓦台の8部署が民主党の蔚山市長候補、宋哲鎬氏を当選させるため、「野党候補に対する標的捜査」「公約支援」「与党内のライバル候補買収」といった方法を使い、組織的に選挙に介入したものだ。蔚山市長選では宋氏が当選し、事件の捜査と裁判が遅れる間、市長の任期(4年)を全うした。宋氏は昨年の蔚山市長選にも出馬し、再選に失敗した。

 事件の訴状には、文在寅前大統領の名前が35回も登場する。文前大統領は2014年、国会議員再・補選当時、蔚山市から出馬した宋氏のトークライブに参加し、「30年という長い時間を共にしてきた心強い同志」だとし、「宋候補の当選を願っている」と発言した。

 検察は被告15人全員に実刑を求刑し、「最上位の権力機関を動員した標的捜査、自分だけに都合の良い公約設計と対立候補中傷など例がない最悪の反民主的な選挙」だと指摘した。続けて「宋市長は4年の任期を終えたが、厳格な法の審判を受ける順番であり、他の被告も見返りとして公職を与えられ、その職にあるが、応分の代償を払うべき時だ」と主張した。

■宋哲鎬被告ら最終弁論で起訴事実否認

 宋哲鎬前市長は最終弁論を通じ、「(2017年9月に)初めて会った黄雲夏氏に当時の金起ヒョン(キム・ギヒョン)市長に対する捜査を積極的に行ってほしいという話をした事実はない」とし、「(警察への)情報提供などがあったのか、この事件の捜査が始まるまで全く知らなかった」と述べた。

 黄雲夏議員も「検察がある種の不純な意図を持ち、警察の正当な業務遂行を標的捜査に変身させた」とし、「(検察が)金起ヒョン氏の側近の不正に対する警察の捜査を故意に否定し、不起訴で事件を覆い隠し、正当な捜査を進めた警察を犯罪者と決めつけた」と主張した。

 白元宇元民情秘書官も「(相手を)中傷してネガティブ(キャンペーン)をしては選挙に勝利できない。それはむしろ検察のやり方だが、それで現在の検察政権が失敗している」と述べ、「私に知らされた数多くの公職者の汚職事件は当然反腐敗秘書官に伝えるべきだと考え、(金起ヒョン氏の不正に関する)文書を渡す際、警察に送れとかどうしろとか指示した事実はない」と述べた。

 しかし、検察による捜査では「野党候補への標的捜査」と関連し、青瓦台民情秘書官室の職員が宋炳琪(ソン・ビョンギ)元蔚山市経済副市長から入手した金起ヒョン氏を巡る情報を加工し、当時の李光哲(イ・グァンチョル)上級行政官に報告していたことが分かった。また、宋哲鎬前市長が17年10月、「党内ライバル候補買収」に関連し、青瓦台で任鍾晳(イム・ジョンソク)元青瓦台秘書室長に会い、宋炳琪元副市長の業務手帳に「(宋哲鎬氏の党内ライバルである)林東昊(イム・ドンホ)氏を動かすカードがあるとチョ·グク首席(秘書官)が話していた」と書かれていた事実も明らかになった。

■任鍾晳、チョ・グク氏も捜査対象に

 今回の裁判は先に起訴された被告15人を対象としている。それ以外に任鍾晳元青瓦台秘書室長、チョ·グク元民情首席秘書官と李光哲元民情秘書官も事件との関連が指摘されている。検察は21年4月、3人に不起訴処分を下しながらも、「3人が犯行に加担した強い疑いがある」としていた。不起訴処分に対し、国民の力は21年5月に抗告を行い、ソウル高検が再捜査の可否を検討している。ソウル高検関係者は「蔚山市長選介入事件の裁判の結論などを参考にしなければならないが、裁判が長期化し、再捜査の可否決定も遅れている」と話した。

ヤン・ウンギョン記者、パン・グクリョル記者

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