▲PM2.5などの微小粒子状物質で視界が悪化した北京の天安門広場。1日撮影。/イ・ボルチャン特派員

 中国の北京市内は1日午後から濃いスモッグに覆われた。中国国旗の五星紅旗もPM2.5など微小粒子状物質で星の模様がよく見えなかった。コロナの感染対策解除後、市民はマスクを着用することはなかったが、この日北京市内では多くの市民が再びマスクを着用した。

 北京市は先月30日12時から今月2日まで大気汚染の「オレンジ警報」を発令した。オレンジ警報とは大気汚染の最高警報である「レッド警報」のすぐ下の段階だ。中国では大気汚染を6等級に分類しているが、今回の第5等級(重大な汚染)レベルはこれが2日連続で続いた場合に発表される。中国中央気象台によると、今回のスモッグは京津址(北京、天津、河北)の首都圏地域20都市で発生し、天津や石家荘など18都市でオレンジ警報が発令された。

 今回北京とその周辺ではPM2.5による濃霧警報が同時に発令され、一時は可視距離が500メートルにも満たず高速道路が通行止めになった。この秋最悪のスモッグが中国の首都圏を襲ったのだ。北京疾病統制センターは京津址地域の子供や妊産婦、高齢者、心臓病や呼吸器系疾患を持つ人に屋外での活動を控えるよう呼びかけた。京津址では人口1億人に対して屋外での活動が制限されたのだ。同日北京道路公社は北京、上海、天津、河北などをつなぐ八つの高速道路の主要な区間を通行止めとした。微細粒子の大きな原因とされる建設資材を運搬する車両やディーゼルトラックの運行も禁止となった。

 秋に中国で発生するPM2.5はいつ韓国に影響を及ぼしてもおかしくない。この時期は中国から韓国に向け西風が吹き、移動性高気圧と低気圧が入れ替わりながら韓半島を通過するからだ。気象庁のこの日の発表によると、現在西海に位置する高気圧の影響で今回のPM2.5は韓半島の北側に流れる可能性が高いようだ。しかし韓半島周辺の気圧配置が変わればいつでも韓国に直接の影響が及ぶ。一時的に風よけとなっている西海の高気圧が移動すれば、中国のPM2.5は西風により直ちに韓半島にやって来る。

 中国の首都圏で発生した今回のスモッグは先月22日から始まった。30日に京津址中南部と河南省北部は空気質指数(AQI)が6段階のうち第4-第5段階にまで悪化し、一部地域では可視距離が50メートルにも満たなくなった。これは自動車の運転が難しくなるレベルだ。中国環境観測センターによると、1日午後に北京市内のPM2.5濃度は1平方メートル当たり150マイクログラムを上回った。

 中国の気象当局は今回のスモッグの原因を「産業活動の増加」とみている。10月下旬以降、京津址での工業電力使用量は同月初めと中旬に比べて5%増加し、中でもセメントやれんがなどの生産に必要な電力使用量が急増したという。貨物トラックの運行や農業用のエネルギー使用も増加した。中国は経済活動の再開に合わせて大気汚染の取り締まりを以前よりも緩和しており、晩秋と冬は中国でスモッグ発生日が例年以上に増えるとの懸念も高まっている。

 最近中国は経済成長率が低下し、経済危機に直面しているとの見方もある。中国で経済成長率を簡単に引き上げる方法は「煙突のある工場の稼働」を増やすことだが、セメント工場などは北京市周辺に多く集まっている。また冬に入ると中国の大都市では一斉に暖房が始まるが、その多くが石炭を使用するためPM2.5なども一気に増える。最近の気象条件の変化もPM2.5の発生に影響を及ぼしている。今年京津址では冷たい空気の流れが弱く、地表の気温が例年よりも高いため、汚染物質が長く蓄積されたとの見方もある。

 問題はこの時期に韓半島に向かって吹き付ける風が北西風あるいは西風になることだ。そのため春や夏に比べて中国からスモッグが流入する可能性が高まる。韓国気象庁の関係者は「秋になれば真夏の北太平洋高気圧のように特定の空気の塊が韓国を覆うようなことはない。そのため韓国は常に風の通路となるため、中国から流入するPM2.5の影響もそれだけ大きくなりやすい」と説明した。

パク・サンヒョン記者、北京=イ・ボルチャン特派員

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