▲インドネシア出身のイスラム教徒で、今シーズン韓国女子バレーボール界に新風を巻き起こしているメガ。/シン・ヒョンジョン記者

 先月26日、韓国プロバレーボール「Vリーグ」女子の優勝候補1位に挙げられる興国生命を相手に、大田正官庄(旧KGC人参公社)がセットカウント3-2で劇的な逆転勝利を挙げた。この日、頭にヒジャブを巻き、手足にカバーを着けた選手が縦横無尽の活躍を見せ、両チームを通じて最多得点(31点)をマークして正官庄を勝利に導いた。その選手とは、メガワティー・パーティウィ(24、登録名:メガ)。インドネシア出身のイスラム教徒だ。試合後に涙を見せたメガは「0-2で負けていたが、最後まで諦めずに集中して勝利をつかんだのがとても誇らしいし、感激だった」と話した。

 メガは今シーズン、韓国プロバレーボールに初めて導入されたアジア・クォータ制を通じて韓国にやって来た。イスラム教の戒律を守るために、日常生活だけでなく試合でも全身を布で覆っている。試合会場で目立たないはずがない。

 先月31日に大田の練習場で会ったメガは「ヒジャブを巻いてプレーするのは不便ではないのか、とよく聞かれる」とした上で「韓国ではこういう姿は異色なので、注目されるのは理解できる。でも、インドネシアではごく自然なこと。全く不便ではない」と話した。メガが韓国に持参したヒジャブは、日常用とスポーツ用を合わせて16枚。スポーツ用のヒジャブを製造する専門ブランドがあるという。メガは「通気性もいいし、動いても脱げない」と説明した。球団側は、食堂でメガがイスラム教徒にとってタブーとされる豚肉を誤って口にしないよう、注意書きを表示しているほか、環境に適応できるよう韓国外大インドネシア語専攻の学生を通訳としてつけている。

 メガの愛称は「メガトロン」。映画『トランスフォーマー』シリーズに登場するロボットの名前だ。さらに、実力も「メガトン級」だ。31日の時点で、4試合で95得点(1試合平均23.8点)をマークし、アジア・クォータの選手の中で1位に立っている。リーグ全体でも4位だ。5試合で102点(1試合平均20.4点)を挙げた金軟景(キム・ヨンギョン、35)=興国生命=を上回る勢いだ。アタックの総合成功率(46.24%、4位)、オープン攻撃成功率(47.25%、2位)、バックアタック成功率(37.14%、5位)など、攻撃の指標では軒並み上位に名を連ねる。自ら「最大の長所は強力なスパイク」と言うほど自信にあふれている。正官庄のコ・ヒジン監督は、7チームのアジア・クォータ選手のうち唯一、メガを守備負担の少ないオポジット(セッターの対角に位置する選手)のポジションで起用し、活用度を最大限に高めている。

 メガは幼少期に最初のスポーツとしてサッカーを始めたが、11-12歳のころ父親の勧めでバレーボールクラブに入門した。当時、父親に「サッカーは主に男性のスポーツだ。身長も高いのだからバレーボールをやってみなさい」と言われたという。メガは「バレーボールを始めた当初は、つらかったし面白さも感じられなかった。手や腕もとても痛かった」としながらも「時がたつにつれバレーボールがとても面白くなった」と話した。メガは韓国に来る前、自国インドネシア・リーグやベトナム、タイのリーグで活躍した。アジア9位のインドネシア(韓国は7位)女子バレーボール界では当然抜きん出たスターだ。2023年のアジア・チャレンジカップではベスト・オポジットに選ばれたほか、2022年のインドネシア・リーグではベスト・サーバー、2020年五輪アジア予選では最多得点賞を受賞した。インドネシアの女子バレーボール選手のうち唯一の海外組で、「東南アジア地域を飛び出し、より広い世界でバレーボールを学びたかった」と話した。

 メガは「好きなバレーボールを毎日一生懸命にやること」が目標だとして「有名になることや賞を取ることは、バレーボールを頑張っていれば付いてくる一種のボーナスのようなもので、追うべき目標ではない」と強調した。練習のない時にはチームの仲間たちと出掛け、トッポッキ(餅の甘辛炒め)やチキンといった韓国料理を楽しむ。韓国ドラマのファンでもあり、『恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ』や『社内お見合い』が面白かったと話した。

大田=キム・ヨンジュン記者

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