▲11月30日午後、慶尚北道慶州市のソラボル女子中学校で生徒たちが地震の避難訓練を行っている。/聯合ニュース

 明け方に警報音で目が覚めた。ぐっすり眠っていた子どもが驚きのあまり目を覚まして泣いた。慶尚北道慶州市文武大旺面にマグニチュード4.0の地震が発生した11月30日午前4時55分、気象庁は全国に緊急災害メールを発送した。ただでさえ末梢(まっしょう)神経を刺激するように設計された災害携帯メールの警報音が夜明けに鳴り響いたことで、さらに恐怖が感じられた。通常、明け方5時ごろから「浅い眠り」であるREM睡眠が活性化するため、おそらく多くの人がこのけたたましいアラーム音に反応して目を覚まし、一部の人々はそれ以降深い眠りに就くことができなかったことだろう。

 同日午前、ソウル市銅雀区にある気象庁地震火山局には、業務がまひしてしまうほど多くの抗議電話が寄せられた。「慶州で起きた地震メールをなぜ何らの関係もないソウルの人々に送って睡眠の邪魔をするのか」といった苦情の問い合わせがほとんどだったという。国民申聞鼓(国民の考えや意見に耳を傾けるために設けられたホームページ)にも10件余りの苦情が掲載された。眠りを覚ました罰として、気象庁の職員たちは大声で怒鳴られ、罵声に耐えなければならなかった。

 しかし、ある人にとってはこの夜明けの警報音は愛する人の安全を確認する手段となった。慶州に一人で暮らす両親を持つ子ども、慶尚北道所在の会社に通う夫を持つ妻など、大きな地震が発生した場合、まずは家族が生死を確認し、それでも連絡が途絶えた場合、警察や消防に通報して救助活動を要請しなければならない。特に高齢の親が一人暮らしをしていたり、スマートフォンを使用していないことから災害メールを受け取れなかったりする場合は、都市に住む子どもたちが災害メールを受け取って再度連絡を取ってこそ、生存確率を高めることができるのだ。慶州で発生した大きな地震のニュースを一切の揺れがなかったソウルや済州の人々にも知らせなければならなかった理由だ。

 実は同日、気象庁の対応はむしろ拍手を送ってしかるべきものだった。地震発生から2秒後には観測に成功し、8秒後に1次分析を終えて災害メールを発送した。地震への対応は早ければ早いほど、人命・財産被害を減らすことができるため、多くの国が「地震発生後10秒以内」に観測・分析・速報の発送までを終えることを目標としている。韓国も「10秒の壁」を破ったのは、今年1月の江華島地震の時が初めてだった。当時の記録である9秒より、同日の場合は1秒も短縮されたのだ。同日、慶尚北道一帯では地震によって人々が感じる揺れの程度を示す「震度」が最大で5を記録した。5はほとんどの人が揺れを感じ、食器が落ちたり窓が割れたりする大きさだ。幸い人命被害はなく、地震の威力が感じられなかっただけで、蔚山、慶南、釜山をはじめ、江原、大邱、大田、全北、忠北でも揺れが感知された大きな地震だった。

 韓国は今年、内陸と海上を含め、計99回の地震が発生した。韓半島(朝鮮半島)はもはや「地震の安全地帯」ではなくなってきたため、再び暗い夜にうるさい災害警報メールがけたたましい音を立てて鳴り響く恐れがある。そんなとき、睡眠を妨げられたと苦情を口にするよりは、誰かにとっては家族の命が懸かっていることだと大きな心を抱いてみてはいかがだろうか。皆が寝静まった夜更けでも、災害メールはうるさく鳴ってこそ、より大きな悲劇を防ぐことができるのだ。

朴相炫(パク・サンヒョン)記者

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