▲12月14日、ソウル市内のある区役所の出生届窓口/ニュース1

 最近、日本の観光当局が最も頭を悩ませているのは、国際線の航空便に関することだ。海外からの観光客は新型コロナウイルスが猛威を振るう以前の水準にまで回復してきているが、最も基本的なインフラである航空便の数が2019年を下回っているためだ。鹿児島空港は2019年、ソウル、香港、上海、台北などに向け週24便を運行していた。今はソウルと香港の週6便に過ぎない。札幌千歳空港は28路線(週149便)から20路線(週120便)へと減ってしまった。ホノルル、クアラルンプール、マニラなどの路線は完全に姿を消している。

 路線の増便ができないのは、飛行機の離着陸過程に必要な地上作業を担う人材がいないためだ。海外の格安航空会社が就航を打診しても、暗礁に乗り上げてしまうケースが一度や二度の話ではない。実際、人材不足というよりは、労働力の減少に対する対応がしっかりとなされていなかったというのが正しい表現だ。日本の航空会社であるJALとANAの地上作業方式が異なっているため、関連する資格制度も異なっており、効率が悪い。オートメーション化されておらず、依然として多くの人手を必要としている。行き過ぎた外注化により賃金水準が低く、就職希望者が現れない。関連技能を有する人材育成にも支援不足は否めない。

 ホテルや旅館などの宿泊業者は人手が足らず、客室を使用できないケースが多い。広島の代表的な観光地である宮島のある旅館の場合、客室の30%は常に空いている。従業員が足りないからだ。1、2カ月後に勤務可能な従業員数を把握し、これに合わせて宿泊客を受け入れる所まである。これでは価格が高騰せざるを得ない。日本経済新聞によると、京都のホテルの平均宿泊費は7万1000円で、2019年(3万9000円)に比べて1.8倍に値上がりした。客単価は上がっても、顧客数が減ると収益は増えにくい。アベノミクスなどで景気が回復基調にあった2017年と同様に、2023年も労働力不足が経済回復の足かせとなっているとの見方が多い。

 日本のケースは労働力不足がなぜ問題なのか、そしてそれに対する対応がまともに行われない場合、経済にどのような悪影響を及ぼすのかをよく物語っている。熟練した人材が適時に十分な規模で供給されなければ、特定産業、ひいては経済全体が円滑に活動できなくなる。人材供給が滞ると、従来の人材の生産性を最大限に高めなければならない。

 現在韓国が直面している問題は、低出生ではなく高齢化による労働力不足だ。生産年齢の中核を担う25-54歳は、2023年11月が2243万人だったが、2030年には2063万人、40年には1781万人にまで激減する見通しだ。逆に65歳以上の高齢者は同期間に969万人、1306万人、1724万人と急増する。現在講じている少子化対策が功を奏するのは早くても2050年。労働力不足は数年後から韓国の足かせとなるだろう。

 人数が減ると、残った人員の精鋭化が問われる。移民拡大が効果を発揮するためには、移民者は生産性の低い働き口に配属され、代わって韓国人が高熟練、高機能、高賃金の働き口に移動しなければならない。韓国では、高齢化により内需が衰退の一途をたどっていることから、優秀な労働力に基づく高付加価値産業を通じ海外市場で成果を上げる必要性が高まりを見せつつある。

 教育と労働市場の改革が急がれるものの、変化を期待するのは容易でなく、多くの懸念が伴う。最近OECD(経済協力開発機構)が発表した国際学習到達度調査(PISA)を通じて、韓国人学生の学力低下が著しいことを改めて確認させられた。公教育が本来の役割を果たせていないという意味だ。ほとんど全ての産業で他の先進国より低い水準である労働生産性をどのように引き上げていくかについては、まともな議論さえ行われていない。あえて子どもを産むことで、このような状況に追い込みたいと思う親などどこにも存在しない。出生率を高めるためには、高齢化に適応しなければならない理由だ。

チョ・グィドン経済コラムニスト

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