尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は金建希(キム・ゴンヒ)夫人のブランドバッグ授受疑惑に関連して謝罪すべき、とする世論は強いが、大統領室ブレーンの間では「拙速な謝罪は最善ではない」という主張も根強い。彼らは、かつて朴槿恵(パク・クンヘ)元大統領が、国政介入疑惑の浮上した際にいわゆる「タブレットPC」報道で拙速に謝罪し、支持率の急落などにつながった前例を参考にすべきだとする。尹大統領も、拙速な謝罪が反対勢力に無差別的全面攻勢のきっかけを与えかねないという点を懸念しているという。

 大統領室の関係者は「謝罪は、ある事案の終結というレベルで行われるべきもの」だとし「だが金夫人の事案の場合、意図的に企画された、工作まがいの『わな隠しカメラ』という点がきちんと取り上げられていない状況で性急に謝罪するのは、反対勢力の無差別的疑惑提起に門を開いてやるようなことになりかねない点を、大統領も懸念しているらしい」と語った。保守系与党「国民の力」所属で親尹系のイ・ヨン議員も21日、与党議員のグループチャットで「謝罪した瞬間、民主党は野良犬のように食いついてくるだろう」という趣旨の書き込みをした。親尹系の中心人物であるイ・チョルギュ議員も「謝罪は違法や過誤があったときにやるもの」だとし、謝罪論に一線を画した。

 これに関連して与党側で注目している事例が、朴槿恵・元大統領の「タブレットPC謝罪」だ。2016年10月、JTBCテレビが「崔順実(チェ・スンシル)=現在は改名してチェ・ソウォン=氏のタブレットPCに大統領の演説文をはじめとする青瓦台の文献が入っていた」と報じ、この報道の2日後、当時の朴大統領が第1次国民向け謝罪会見を行った。ところがこれを起点として、当時の野党およびメディアは、朴大統領と崔氏の国政介入疑惑を無差別的に提起した。事実ではなかったり、真偽が確認されていなかったりする流言飛語レベルの報道が続いた。そうした中で朴大統領の支持率は急落し、最終的に弾劾で大統領の座から追われた。

 朴・元大統領自身も、最近中央日報に寄稿した回顧録で、当時青瓦台ブレーンの建議を受け入れて国民向け謝罪を発表したことは「取り返しのつかない悪手」だったとした。朴・元大統領は「(謝罪文の発表は)私がいまだ把握もできてもいない各種の疑惑について、100%認めたかのように受け止められ、民心は一瞬で傾いた」「真相を把握しようと思ったら時間が必要だったのに、世論の属性を予見できなかったのは私の不覚だった」と記した。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

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