▲イラスト=UTOIMAGE

 ロシアの軍事ブロガーが先ごろ、ウクライナとの戦闘によるロシア軍の損失規模を投稿で暴露した後に死亡したことが分かった。ロシアの反政府活動家、アレクセイ・ナワリヌイ氏が16日に急死してから1週間もたたずに、新たな不審死のニュースが伝えられたのだ。プーチン大統領が再選するとみられる今年3月の大統領選を前に、ロシアが反プーチン派の人物に対する大々的な粛清に乗り出したとの分析が示されている。

 米紙ニューヨーク・タイムズなど外信は21日、ウクライナ戦争を支持してきた親クレムリン(ロシア大統領府)のブロガー、アンドレイ・モロゾフ氏(44)が同日死亡したと報じた。モロゾフ氏は先ごろ、ロシアが最近占領したウクライナの都市アウディーイウカを攻撃する過程で1万6000人の兵力と300台の装甲車を失ったと投稿したが、これが問題視されたようだ。アウディーイウカは今回の戦争で最大の激戦地の一つだったが、17日にウクライナの軍隊が作戦上の理由で撤退したため、ロシア軍が掌握するに至った。

 モロゾフ氏は20日に突然、この投稿を削除し、翌21日に別の内容を投稿して自身の暴露のせいでロシア軍司令部と親政府宣伝家らから圧力を受けていると主張。さらに、脅迫が続くのなら自ら命を絶つともつづった。その直後に死亡のニュースが伝えられたのだ。現段階で死因は明らかにされていないが、ロシア国営メディアとロシア国内の親クレムリン軍事ブロガーらは、モロゾフ氏が自ら命を絶ったと一斉に明らかにした。

 モロゾフ氏の死が衝撃的な理由は、これまでに命を落とした反プーチン派の人物たちとは異なり、モロゾフ氏が基本的にロシアのウクライナ侵攻を一貫して支持してきた人物だからだ。ロシア軍の深刻な被害状況を暴露したことについても、ロシア軍が置かれている苦境にもっと関心を持ってもらうために、公益的な目的から暴露したのだと明かしていた。ニューヨーク・タイムズは「戦争の初期には、戦争ブロガーらがロシアの軍隊を批判することがあっても、彼らがロシアの軍隊を支持して軍隊の問題に対する関心を呼び起こすというプラスの効果があるためロシア政府はさほど問題にしていなかった」とした上で「しかし昨年、民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏が反乱を起こしたのを機に、基調が正反対に変わり、ロシア軍に反対の立場を取ると激しい弾圧を受けるようになった」と指摘した。主に戦況を生配信し、自軍と敵軍の作戦について論じる軍事ブロガーらに、ロシア軍に有利なニュースだけを伝えるよう圧力がかかっているという意味だ。

 ナワリヌイ氏の死後、ロシアは残る反プーチン勢力への弾圧を強めている。ロシア政府がナワリヌイ氏の追悼行事に参加した男性らに軍入隊を強要したとのニュースも伝えられた。モスクワ・タイムズは21日、テレグラムのニュースチャンネル「ロトンダ」などの内容を引用し、サンクトペテルブルクの警察の拘置所から釈放された追悼行事参加者のうち少なくとも6人が入隊通知書を受け取ったと報じた。逮捕された6人が受け取った通知書には「数日以内に入隊事務所に申告し、軍服務の登録をするように」と書かれていたという。ロシア当局はナワリヌイ氏の死後、少なくとも400人の追悼行事参加者を逮捕したという。

リュ・ジェミン記者

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