▲23日、ソウル市銅雀区のポラメ病院で、女性患者の目に目薬をさす看護師。写真=コ・ウンホ記者

 手術室や入院病床で患者を守ってきた初期研修医の約70%(7863人)が病院からいなくなり、看護師たちが初期研修医の代わりに処置をするケースが続出している。医療法上、違法に当たる余地が多分にある行為だ。看護師53万人が所属する大韓看護協会の申告センターには「激務もつらいが、今やっていることが後に問題になり、刑事処罰を受けるのではないかと思うと不安だ」「救急処置を適時に行うことができず、患者が集中治療室行きになった」という申告が相次いでいる。

■看護師が心電図検査・挿管実施

 大韓看護協会によると、初期研修医が集団で病院を去った今月20日から三日間に寄せられた「現場看護師の苦情」は計154件だったという。最も多かったのは「違法診療行為」だった。患者を対象に行われる診療・処置・手術は医療法上、医師が行わなければならない。看護師は、隣で医師の指示に従って補助行為のみすることができる。しかし、これまでも医師不足によりPA(医師補助)看護師などが医師の一部業務を慣行的に行ってきたが、違法と合法の境界線上にある行為だ。

 昨年、看護師たちが地方の高齢者ケアなどを盛り込んだ看護法制定を推進した際、各医師団体は「医療システム崩壊法案だ」と言って反対した。看護師たちは当時、「今後は医師たちが自分の仕事を看護師に押し付ける『違法委任』を受け入れない」と言った。ところが、今回の初期研修医の医療現場離脱により病院が人手不足に陥ると、以前のように看護師が初期研修医の業務を代わりに行うケースが頻発しているのだ。初期研修医が行っていた動脈血採血、血液検査、心電図検査、ドレッシング(創部保護)などを看護師が代わりにしているということだ。

 ソウル峨山病院のある看護師は「初期研修医の業務である尿道カテーテル挿入・動脈血採血・手術同意書を受け取る行為を看護師がしている。引き継ぎもなく初期研修医たちが現場を離れたのは、医療システムをマヒさせる行動だ」と言った。ある地方総合病院の看護師は「医師のIDで看護師が処方する代理処方も行われている」と話した。有名病院であるセブランス病院のある看護師は「『ストライキをしている一部の初期研修医が、医師の業務をしている看護師を告発しようとしている』と聞いた。処罰されるのではないかと思うと怖い」と語った。

■「救急医療ができず集中治療室へ」

 救急医療では看護師が初期研修医の空白を埋めることができない。特に手術を受けた患者の状態が突然悪化した場合、応急処置として薬などを投与しなければならないが、看護師は「処方権」がなく、独自の救急医療ができない。医者が来なければならないのだ。大韓看護協会の関係者は「救急処置が適時にできなかったという通報が2件寄せられた。これにより、ある患者は集中治療室に入ったとのことだ」と述べた。京畿道の大規模病院に勤めて3年目の看護師は「手術を受けた患者に『便秘なので薬が欲しい』と言われたが、医師がいないので、『申し訳ないが少しだけ我慢して』と言うしかなかった」と語った。大韓看護協会は記者会見で、「人手不足により患者の消毒施行周期が平均四日から七日に増えたことが分かった。週末もしなければならないガーゼ消毒を平日だけ行っているのが実情だ」と述べた。

■看護師も疲弊

 初期研修医の不在を埋めるため、大規模病院の看護師らは休暇を取り消し、非常時に備えて待機するケースが増えている。ソウル聖母病院の看護師は「初期研修医のストライキで手術が延期された患者とその家族に一日中、理由を説明している。患者の恨み言をすべて聞いていると疲労困憊(こんぱい)する」と言った。ソウル峨山病院の看護師は「今週はひっきりなしにやって来る患者の電話に一日中出ていたので、のどを痛めた」と話した。ソウルの大規模病院の看護師たちは「病院の上層部からも当然のように『初期研修医の業務を看護師が代わりにするように』という指針が下された。こうなったからには、看護師が医師業務の一部を合法的に代行できるよう、法律を変えてほしい」と言った。

 ソウル市内の病院に勤めて5年目の看護師は「先日、専門医の先生たちが患者もいる病院の中で、初期研修医たちに大声で『私たちがストライキをした2020年7月は暑すぎてろくに遊べなかった。今回は楽しく遊べそうだな』と言っていたのを聞き、本当に腹が立った」と話した。

チョ・ベッコン記者、チョン・ヘミン記者、コ・ユチャン記者

ホーム TOP