▲藤田怜央初段。写真=韓国棋院

 日本最年少プロ囲碁棋士の藤田怜央初段(10)も韓国に留学することになった。来月3日に韓国でデビュー戦を行う仲邑菫(なかむらすみれ)三段(14)に続き、日本囲碁界期待の星が相次いで韓国に来るということで、注目されている。

 2013年4月生まれの藤田初段は小学校3年生・満9歳4カ月だった2022年に世界最年少プロになった。満10歳でプロになった仲邑三段に続き2人目の日本英才特別採用推薦棋士だ。このため、日本最年少プロ囲碁棋士は仲邑三段から藤田初段になった。

 藤田初段は今年4月から韓国の韓鐘振(ハン・ジョンジン)九段の道場で囲碁の修行をする予定だ。期間はひとまず3カ月間に決まった。昨年末、オープン大会「聞慶セジェ杯」出場のため訪韓し、約1カ月滞在して韓国の囲碁に接したのがきっかけになった。藤田初段は今年1月にも2週間ほど韓鐘振道場の寮で過ごしたほど韓国が好きだ。

 プロデビュー以降の藤田初段の総戦績は9勝12敗だ。2022年は2敗、2023年は7勝10敗だったが、今年は2勝(2月22日現在)と上昇傾向を見せている。まだ5割の勝率には及ばないが、特別な才能の片りんを見せ始めた。

 藤田初段は韓国を選んだ理由について、「朝早くから夜遅くまで囲碁の勉強だけに専念できる。レベルが高く、強い同年代の棋士が多いのもうれしい」と話す。人工知能(AI)関連教材などの勉強する環境にも魅力を感じたとのことだ。理学療法士の父・陽彦さんが藤田初段のマネージャー役を務める。

 韓国デビューを目前に控えた仲邑三段も、移籍について、「韓国は強い棋士も対局数も多い。より高いレベルの環境で勉強することが、今の私には必要だと思い、(韓国行きという)決断に至った」と語っていた。

 日本が意欲的に取り組む英才特別採用推薦棋士制度の恩恵を受けた2人が、いずれも韓国を目指す格好になった。違いがあるとすれば、仲邑三段が活動の全舞台を移す移籍生であるのに対して、藤田初段は先進の技を学びに来る留学生に近いという点だ。

 仲邑三段や藤田初段より前にも、多くの外国人棋士たちが韓国の囲碁界で経験を積んでいった。日本の新鋭、福岡航太朗五段(18)は陽川デイル道場で修業した韓国留学組出身だ。日本に帰って2019年に入段した後、第9回グロービスU-20杯で準優勝した。福岡五段を育てた李勇秀(イ・ヨンス)八段は「『韓国での生活がとても楽しい』と言って、予定期間を越えて5年近く滞在していた」と振り返る。

 大西竜平七段(23)も韓国の許壮会(ホ・ジャンフェ)道場とチュンアム道場で学んだ。 2015年に日本で入段し、翌年最年少新人王に輝いた。日本のスター棋士、依田紀基九段(58)は2人の息子を韓国に留学させた。次男の大空初段(20)は張秀英(チャン・スヨン)道場を経て2022年に入段し、三男の天心(13)もプロ入りを目指している。この他にも日本の小池翔舞(12)らが長期・短期留学のために韓国の囲碁道場の門をたたいている。

 日本は、かつて世界の囲碁先進国という地位にあった時期、各国の期待の星たちが集まった国だ。韓国からも、趙南哲(チョ・ナムチョル)九段、金寅(キム・イン)九段、趙治勲(チョ・チフン)、趙治勲(チョ・チフン)名誉名人、河燦錫(ハ・チャンソク)九段、柳時熏(ユ・シフン)九段ら、かなりの数の棋士たちが日本で経験を積んだが、そうした状況は180度変わった。

 留学生ラッシュ現象は、韓国の囲碁の国際的地位が高まったという証しだ。いわゆる「Kカルチャー」「Kフード」のように、「K囲碁」が韓国産まれの文化として定着しつつある。しかしその一方で、韓国では囲碁棋士希望者の減少により、廃業する道場が増えているのも事実だ。韓国が国際囲碁界の新たなメッカとして地位を固めるには、他の文化のように国家的支援が必要だと指摘する声もある。

イ・ホンリョル囲碁専門記者

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