▲曺国元法務部長官の娘チョ・ミン氏/ニュース1

 「記憶にない」――。曺国(チョ・グク)元法務部長官の娘チョ・ミン氏(33)は14日午後、ソウル中央地裁で1時間21分にわたり行われた証人尋問で大半の質問にそう答えた。チョ・ミン氏は元ソウル大公益人権法センター事務局長K氏を巡る偽証事件の裁判に証人として出席した。K氏はチョ・ミン氏の母親チョン・ギョンシム元東洋大教授の子女入試不正事件の公判で偽証したとして、昨年9月に起訴されている。

 入試不正事件はK氏がチョン氏の裁判に証人として出廷し、「2009年5月にソウル大国際人権法センターのセミナーでチョ・ミン氏を見た」という趣旨で証言したことが発端となった。検察の調べによれば、チョ・ミン氏はセミナーが始まる前に会場入りしていないほか、一緒に参加したとされる友人2人と一緒にセミナーの準備を手伝えという指示を受けたこともなく、実際にセミナーの準備を手伝った事実もないと判明した。チョン氏の裁判で裁判所はチョ・ミン氏がセミナーには参加していないと判断し、チョン氏は大法院で懲役4年の判決が確定した。

 証人尋問はチョ・ミン氏が2009年にソウル大公益人権法センターが主催したセミナーに実際に参加したかを巡り、検察と攻防を繰り広げた。チョ・ミン氏は「セミナーに参加したことは明らかだが、その日どんなことがあったのかは覚えていない」と述べた。これに対し、検察は「偽証罪で処罰を受ける恐れがある」と警告し、参加経緯、セミナーの開催時間、参加教授などについて尋ねた。

 検察はセミナー当時にチョ・ミン氏と推定される人物が撮られた映像と同氏が通っていた漢栄外国語高校の制服を提示した。検察は「映像の中の人物が着ている服は、白い襟付きシャツと黒または暗い色の肩パッド入りジャケットだ」とし、それは漢栄外国語高校の制服とは違うと指摘した。セミナーが開かれた2009年5月15日は金曜日で学期中の平日であり、開始時間が午後2時だったため、チョ・ミン氏は制服姿でセミナーに行ったはずだが、映像の人物とは身なりが違うのではないかとも疑念を呈した。しかし、チョ・ミン氏はどんな服を着ていたのかは覚えていないと述べ、「制服を着て行ったか、途中で服を着替えて行ったかは覚えていない」と続けた。「学会などに参加する際には黒いスーツを着るのではないか」と反論する場面もあった。

 チョ・ミン氏の反論に対し、検察は当時学会に参加した高校生A氏の証言を示した。検察は「A氏は当時、チョ・ミン氏とは別のB高校に通っており、この日のセミナーに制服を着て参加したと一貫して証言している」とし、B高校の制服は黒系統の肩パッド入りジャケットだという事実を示した。チョ・ミン氏が自分だと主張する映像中の人物は実際には同氏ではなく、B高校に通うA氏の友人ではないかとの指摘だ。チョ・ミン氏は再び「セミナーにどんな服を着て行ったかは全く覚えていない」と述べた上で、それでも「映像の中の人物は私で間違いない」と主張した。

 チョ・ミン氏の「覚えていない」という趣旨の証言は続いた。検察側は「セミナー開会前にはどんな行事があったか」「父親(曺国元法務部長官)を除くセミナー参加者が誰だったか」など当時の状況を尋ねたが、チョ・ミン氏は「覚えていない」と答えた。

 チョ・ミン氏は映像中の人物が自分だという根拠として、「左利き」である点に言及した。映像中の人物が左手でペンを握りメモを取っており、自分がペンを握る際の癖と同じだとの主張だ。検察側にペンを実際に握ってみるよう求められたチョ・ミン氏は人差し指と中指でペンを挟む姿を見せた。検察側は「左利きの人がペンを握る姿はインターネットで検索しただけでも証人と似ている。映像中の女子学生が証人(チョ・ミン氏)だということを裏付けるのは難しい」と指摘した。

 一方、担当判事はチョ・ミン氏に対する過料処分を取り消した。これに先立ち、事件を審理していた別の判事は裁判官の人事異動前の今年1月、証人出席要求に応じなかったチョ・ミン氏に過料200万ウォン’(約22万3000円)の処分を言い渡した。今回の担当判事は、チョ・ミン氏が法廷に出席して証言に応じたいう理由で過料処分を取り消した。

イ・ミンジュン記者

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