▲日本のプロ野球新球団「くふうハヤテベンチャーズ静岡」の竹内奎人投手(25)が2月3-4日に行われた医師国家試験に合格していたことが分かった。写真は試験を終え会場前で笑顔を見せる竹内奎人投手(25)。/X(旧ツイッター)

 日本で20代のプロ野球選手が医師国家試験に合格し大きな話題となっている。日本では小学校から中学・高校の多くの児童生徒が野球やサッカーなどの部活に参加し、学業とスポーツを両立させているが、現役のプロ野球選手が医師国家試験に合格するのは今回が初めてだという。サンケイスポーツなど現地メディアが一斉に報じた。

 日本のプロ野球ウエスタンリーグ(2軍リーグの一つ)「くふうハヤテベンチャーズ静岡」の右投げ投手、竹内奎人選手(25)が今月15日に医師国家試験に合格した。合格者が発表されたのは竹内選手がオリックス・バファローズとの試合に出場しマウンドで力投していたまさにその時だった。この試合はウエスタンリーグ開幕戦で、竹内選手にとってもプロデビュー戦だった。竹内選手はサンケイスポーツの取材に「7回まで投げ終えて降板し、その直後にロッカールームで携帯を見ると、母からLINEで(医師国家試験に)合格したと連絡が来ていた」と語った。竹内選手は医学部に進学した後も大学で野球部に所属し、この日は医師国家試験にも合格したのだ。

 1999年に静岡県で生まれた竹内選手は小学校1年生の時から野球を始め、中学校までエースとして活躍した。2014年には侍ジャパンU15(15歳以下の日本代表)にも選ばれ、同年メキシコで開催された野球ワールドカップにも出場した。静岡高3年生だった2017年には選抜大会で甲子園にも出場した。竹内選手はユースの時代から将来の日本プロ野球を背負う有望選手として期待されていたが、実は中学2年生の時から「医者になりたい」と思うようになり、「けがで苦しむ選手たちを支えたい」という思いから野球と関係が深い整形外科医を目指していたという。そのため高校時代は野球部の練習後も疲れた体で毎日勉強を続けた。学校近くの図書館やカフェにも本を持ち歩いた。練習が休みの日は1日12時間以上勉強したという。高校3年生だった2017年に大学野球のスカウトにも誘われたが、「医学部に進学したい」という理由で断ったという。

 その結果、国立大学の群馬大学医学部に一般公募推薦入試で現役合格した。医学部では1科目でも単位が取れなければ留年だが、それでも野球はやめなかった。病院での実習の合間にも時間を見つけては練習に取り組んだ。医学の勉強と選手生活を並行して6年が過ぎた。

 竹内選手は群馬大学野球部でもレベルを落とさず、昨年11月に現在所属するチームの入団テストに合格した。身長181センチ、体重83キロの堂々とした体格、そして50メートル6秒3という俊足もチーム関係者の注目を集めたという。

 学業とスポーツを並行する文武両道は決して楽な道のりではなかった。竹内選手は大学3年生だった2020年春に右肘を負傷した。野球をやめることを考えるほど重症だったという。ところが手術を受けた翌日に病室のテレビでプロ野球ドラフト会議の中継を見た竹内選手は、高校時代の同級生でライバルだった選手がDeNAに指名されたことを知り、「自分もやればできる。もう一度心から野球をやりたい」と改めて強く誓ったという。

 竹内選手は解剖学や生理学、栄養学などの授業で学んだ内容を自らのリハビリや練習に取り入れたという。危機をチャンスにしようとしたのだ。その結果、回復後の試合では自己ベストの147キロのストレートを記録した。高校時代の最速は141キロで、それを上回るスピードが出たのだ。その時に竹内選手は「野球はまだやめない」と心に決めたという。

 日本のスポーツ・ニュース・サイトTHE ANSWERによると、竹内選手は医学部卒業後に研修医として2年間経験を積まねばならない。竹内選手は「選手生活を終えてから医師の道に進みたい」とTHE ANSWERの取材に語った。竹内選手は昨年10月にSNS(交流サイト)を通じ「医師不足が懸念されるが、今後も挑戦を続けたい」との考えを示した。日本は医師不足のため医学部定員を増やしている。

 竹内選手は「医学部出身」のフレーズについて「応援してもらえるきっかけになり得る」と語る。竹内選手は「いま野球と勉強を両方頑張っている小中学生は、二つをてんびんにかける時が絶対来る。そんな時に両方頑張る人が一人でも増えてくれたらうれしい」とTHE ANSWERの取材に語った。

金東炫(キム・ドンヒョン)記者

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