李在明元京畿道知事から任命状を受け取る当時の李華泳・京畿道元副知事/ニュース1

 北朝鮮に対する不正送金疑惑で収賄、外国為替取引方違反などの罪で起訴された李華泳(イ・ファヨン)元京畿道平和副知事に対する被告人尋問が19日、水原地検で行われ、李元副知事は「全く知らない」「全く覚えていない」「そんなことはない」など質問内容を一貫して否認した。

 李元副知事は6時間余りにわたって行われた公判で12回以上「とんでもない話だ」と発言し、事実関係の大半を否認した。検察と李元副知事は互いに「笑うな」と神経戦を繰り広げる場面もあった。

 水色の受刑者服姿で法廷入りした李元副知事は、法廷中央の被告人席に座り、検察の尋問に応じた。

 李元副知事は事件当時、京畿道知事だった李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表の南北交流協力事業に関する具体的な指示があったか、京畿道は対北朝鮮制裁が存在する状況下でスマートファーム事業などを推進したのかなどという検察の質問の大半に「違う」と答えた。その上で、李元副知事は「(対北朝鮮事業に関して)李在明知事の指示は全くなかった」とし、「李在明知事の業務スタイルはそんなことについて、いちいち呼び出して決裁したり確認したりはしない」と述べた。

 検察は北朝鮮に京畿道の代わりにスマートファーム事業費と京畿道知事の訪朝費用など計800万ドルを負担したとされるサンバンウルグループのキム・ソンテ元会長、パン・ヨンチョル副会長が2018年11月に朝鮮アジア太平洋委員会のキム・ソンヘ室長ら北朝鮮側関係者に会った事実を知っていたかを質問したが、李元副知事は「知らなかった」と答えた。

 検察はまた、李元副知事のスマートフォンに2018年11月30日に北朝鮮側関係者とキム元会長が一緒に撮影した写真が保存されていたという証拠を示し、「説明と食い違う」と指摘した。すると、李元副知事は「それがどうして私の電話にあったのか」「よく分からない」「はっきりと思い出せない」「私はとにかく記憶がない」と否定した。

 検察は「(李元副知事は)キム元会長がキム・ソンヘ室長にスマートファーム費用を支払うと発言した事実をよく知っていたようだ」と指摘すると、李元副知事は「とんでもない事実だ」とし、「キム・ソンテがなぜ私のために500万ドルを北朝鮮にやるのか」と反論した。

 検察が「キム・ソンヘ室長の500万ドルのスマートファーム支援要請を受諾したが、対北朝鮮制裁のために実行できなくなり、李華泳が『頭が痛い』と言った」とするキム元会長の陳述内容を示すと、李元副知事は「キム・ソンテの完全なうそ」だと主張した。また検察が「サンバンウルは被告が与えた資料に基づき、北朝鮮協力事業提案書を作成したというが、その通りか」と質問すると、「パン・ヨンチョルの真っ赤なうそ」だと否定した。 被告人席に座っていたパン副会長は、イ元副知事が否定するたびにあきれたように笑う場面もあった。

 検察は李元副知事が2019年1月17日、中国・瀋陽で行われたサンバンウルと北朝鮮側の経済協力協定調印式に出席したと指摘した。李元副知事はこれまで一貫して「協定を結ぶ事実を知らなかったし、自分が出席したかも覚えがない」と主張してきた。検察が当時の写真と映像を示すと、李元副知事は「調印式だとは知らなかった」として「ははは」と笑った。検察は「何をやっているのか知らなかったという話が通るのか。ずっとうそをついている」と批判した。李元副知事は「私は記憶にない」と話した。

 検察は調印式後に夕食会があり、その席で李元副知事が李在明知事に電話をかけ、キム元会長と話させたというキム元会長の供述を示し、「事実か」と尋ねた。李元副知事は再び「とんでもない」と答えた。

 李元副知事は検察が指摘した事実の大部分について、「事実ではない」「全く覚えていない」「とんでもない」という返事だけを繰り返した。検察と李元副知事は公判中、神経戦を繰り広げた。李元副知事と検事は尋問の過程で互いを笑ったことをめぐり言い合いになる場面もあった。検察が「マカオ経由で北朝鮮にカネを渡すことをキム・ソンテが被告人とずっと相談したというがそれは事実か」という質問に対し、李元副知事が否認すると、検察はあきれたように笑った。すると弁護人は「あざ笑うようなことではないのではないか」と声を上げ、検察は「被告人も毎日のようにあざ笑っている」と応酬した。それに対し弁護人は「検事は品位を守ってほしい」と注文した。

 当初19日で終了予定だった被告人尋問はさらに続く予定だ。今回の被告人尋問は午前10時から午後6時まで休廷時間を除き、約6時間近くにわたり行われたが、検察が準備した300項目以上の質問のうち、約130項目に対する尋問しかできなかった。裁判所は次回の公判期日を26日、29日と指定し、「(弁論終結は)4月2日ごろになるのではないか」と説明した。

キム・スオン記者

ホーム TOP