▲写真=UTOIMAGE

 トランスジェンダー選手による女性スポーツへの参加を巡り米国で女性アスリートらが訴訟を起こした。NCAA(全米大学体育協会)は男性から女性に性転換したトランスジェンダー選手の女子競技出場を認めているが、すでに引退した選手を含む原告の女性アスリートらはこのNCAAの対応を問題視している。

 米ABCテレビが19日(現地時間)に報じた。報道によると16人の女性アスリートらは14日、NCAAが2022年の水泳の全米大学選手権にトランスジェンダー選手のリア・トーマス選手の女子競技出場を認めたことについて裁判で取り消しを求めた。

 原告はNCAAの決定について「女性アスリートの平等を侵害し、教育で性差別を禁じる法案にも違反している」と主張する。原告団の一人で元ケンタッキー大学水泳選手のケイトリン・ウィーラーさんは「NCAAの最も基本的な責務は公正性と選手の安全を保護することだが、NCAAはこの簡単な責任を果たしていない」「女性アスリートの未来を守るため今回訴訟を起こした」と述べた。

 訴状は2022年にNCAA主催の全国大学水泳選手権にペンシルベニア大学から出場したトランスジェンダーのリア・トーマス選手の問題を集中的に取り上げている。

 トーマス選手は2019年からホルモン療法で男性から女性に手術を受けずに性転換した。生殖器を除去しない状態で男性ホルモン抑制剤の投与を受けたのだ。NCAAはトーマス選手が1年以上にわたり治療を受けたことを理由に女性大会への出場を認めた。

 同年行われた大会でトーマス選手は女子自由形500ヤード(457.2メートル)で優勝した。トーマス選手は男子としてのランキングは全米で400-500位だった。

 これについてトーマス選手と同じペンシルベニア大学女子水泳チームに所属していたポーラ・スキャンランさんは昨年末に米下院で証言し「男子の生殖器がそのまま残るトーマスの前で週に18回も服を脱がざるを得なかった」「こんな状況から逃れるためトイレで着替えるか、家族用トイレを使う女子選手もいた」と訴えた。さらに「女性アスリートは不満を訴えているが、大学は妥協できないとしか回答しない」「私たちが男子の前で服を脱ぐことに慣れるよう相談をもちかけてきた」とも主張した。

 裁判を起こした原告のアスリートらは今年開催される大会にトランスジェンダー選手出場に関する規定を適用しないよう求めている。またすでにトランスジェンダー選手が出場した大会の結果やそれに基づく全ての記録、タイトルも無効にするよう求めている。

 原告団の代理人弁護士は「原告の選手たちが心から願うことは平等で公正な機会だ」「全ての人はスタートラインで平等でなければならない」と述べた。

 この裁判についてNCAAは直接の反応は示していないが「女性スポーツには今後も前例のない投資を続け、全ての競技で公正な競争を保障する」と短くコメントした。

 また性的マイノリティーのスポーツ擁護団体「アスリート・アリー」は「今回の訴訟はトランスジェンダー・アスリートが同じ空間に存在する可能性をなくすものだ」「競技で目標に到達できなかった全てのアスリートの苦痛には共感するが、トランスジェンダー・アスリートをその失敗の原因とし、スケープゴートとするのは根拠がない」と反発している。

イ・ガヨン記者

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