▲大邱地裁(写真=NEWSIS)

 大邱市内のあるワンルームマンションで女性を性的暴行しようとした20代の男が、ちょうど部屋に入った男性を凶器で何度も刺し、重い障害を負わせた。この男性は女性と交際中だったという。犯人の男は一審で懲役50年の判決を受けたが、控訴審では27年に減刑された。このように懲役刑が半減したことを受けネットでは判決の妥当性を巡り激しい議論が続いている。

 大邱高裁第1刑事部(裁判長、チョン・ソンウク高裁判事)は23日、性暴力犯罪処罰などに関する特例法違反(強姦〈ごうかん〉、殺人未遂)などの容疑で起訴された29歳の男に対する控訴審で、懲役50年の一審判決を破棄し懲役27年を宣告した。

 男は昨年5月13日午前10時56分ごろ、大邱市北区のあるワンルームマンションで帰宅途中だった20代女性の後をつけ、部屋に入り込んで性的暴行をしようとしたところ、ちょうどその時女性と付き合っていた男性が部屋に入り暴行をやめさせようとしたため、犯人の男は男性を凶器で殺害しようとしたが未遂に終わったという。犯行直前の様子が記録された監視カメラには、配達員を装った犯人の男がドアのパスワードを押す女性の周りをうろつき、ドアが閉まる直前に力ずくで部屋に入ろうとする様子がしっかりと映っていた。

 犯人の男が見境なく凶器を振り回したため、男性は大量出血し影響で脳が損傷した。その後男性は社会年齢11歳ほどでの生活を余儀なくされ、また女性も手首に大けがを負った。被害男性は言語、認知、行動などに回復不能の障害を負い、日常生活にも支障が出ているという。女性は一審判決後に聯合ニュースの取材に応じ「事件前からいつも私を頼もしく守ってくれたボーイフレンドだったが、事件後は体を自由に動かせなくなり糸を針に通すこともできなくなった」「右腕を何度も刺され、筋肉はほとんどなくなった状態だ」と説明した。

 高裁判決は一審に比べて23年も減刑された。一審を担当した大邱地裁刑事11部(裁判長、イ・ジョンギル判事)は男に対し、韓国国内の懲役刑としては最長の50年を宣告した。

 控訴審では男が自らの過ちを反省し、1億ウォン(約1100万円)を刑事供託した点なども考慮され上記の判決が下されたという。裁判長は「罪状は非常に悪質で、被告は被害者たちから許しを得られていない。また将来同じような模倣犯罪の発生を防ぐための一般的な予防次元からも被告には重い処罰を下す必要がある」としながらも「ただし被告は捜査段階から自らの過ちを認めて反省した点、多少偶発的に強姦殺人未遂という犯行に至った点、被害を受けた男性のために1億ウォンを刑事供託した点などを考慮し、有期懲役刑を加重した法定最高刑の懲役50年を宣告するのはあまりに重いと判断した」と説明した。

 懲役の期間が半分近くに減刑されたことでネットでは批判の声が相次いでいる。減刑のニュースを伝える記事が掲載された複数の掲示板などには「被害者は許していないのに、なぜ裁判長が減刑するのか」「これだから私的制裁のコンテンツが流行する」「永久に障害を負ったのなら事実上の殺人に準ずる」などの批判が相次いだ。

 刑事供託の制度を批判する意見も多かった。刑事供託とは、被告が被害者と合意に至らない場合、裁判所の供託所に一定額を預け、被害者への補償に使えるという制度だ。被害者が供託金を受け取れば合意に至ったと見なされる。ただし被害者が「金は必要ないので加害者を厳しく罰してほしい」として供託金を受け取らないケースもたまにみられる。ネットでは「被害者が供託金を受け取る考えがあるかないかも分からないに減刑とは」「1億ウォンの供託金で23年も減刑するのか」などの指摘も掲載されている。

 ただし一部では「残念ではあるが、懲役27年は決して短くはない」「すでに量刑基準よりも重い判決が下されており、これを判事のせいにすべきではない。法律を改正すべき問題だ」などの見方もある。

 また裁判では男に対し、懲役27年とは別に個人情報の公開・告知10年、児童・青少年関連機関や障害者関連機関への就職制限10年、位置追跡電子装置付着20年などが命じられた。

パク・ソンミン記者

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