▲インド・ウッタルプラデシュ州アグラのタージマハルを見学する金正淑(キム・ジョンスク)氏/NEWSIS

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領夫人の金正淑(キム・ジョンスク)氏による「インド・タージマハル観光性出張疑惑」と「シャネル・ジャケット未返還疑惑」を捜査しているソウル中央地検刑事2部は7日、金正淑氏を不起訴にしたと発表した。

【写真】シャネルのジャケットを着てマクロン仏大統領夫人と歩く金正淑氏

■タージマハル訪問は公式スケジュールの一部

 検察はまず2018年11月の金正淑氏のインド訪問をめぐる職権乱用権利行使妨害および国庫損失の容疑について、「嫌疑なし」と判断した。当時インドは文在寅政権が進めていた「新南方政策」の重要なパートナーとして、大統領あるいは「最高クラスに近い」使節団の訪問を何度も要請していた。疑惑の核心となるタージマハル観光もインド側が先に提案し、州政府関係者の案内を受けて行われた公式日程だった。

 当時、金正淑氏を含む「韓-インド文化協力代表団」による視察はインド国内の三つの地域を訪問する日程で計画され、警護や移動の便宜などを考慮した上で「空軍2号機」の使用が決まった。空軍の規定によると、専用機は必ずしも大統領専用ではなく、警護支援や政府固有の任務を支援する目的での使用も可能だという。代表団も独自の法理検討や空軍本部の承認など、必要な手続きを全て完了していたことが捜査で明らかになった。

 また代表団の人数が45人だった点や、空軍2号機を使用する費用などを考慮し、文化体育観光部(省に相当、以下同じ)の予備費から3億9834万ウォン(現在のレートで約4137万円)を使用することになったが、その際にも企画財政部による確認、国務会議(閣議に相当)での議決、大統領の決裁など関連する手続きが守られたことも検察の捜査で確認された。

■シャネルはジャケット寄贈の意向を伝えるも青瓦台が断る

 金正淑氏が2018年にフランスを国賓訪問した際に着用していたシャネルのジャケットが無償で提供された疑惑についても、検察は嫌疑なしと判断した。着用当日にシャネルから一時的に無償で貸与を受け、着用後はこれを返還したというのだ。またこれを金正淑氏が個人的に所有するとか、着用の際に青瓦台(当時の韓国大統領府)特殊活動費などが使われた証拠は確認できなかったという。検察が明らかにした。

 シャネルは金正淑氏が着用していたジャケットについて「試作品のため有償でのレンタルや寄贈品としては適切ではない」と判断し、新たに製造した同じジャケットの寄贈を申し出たが、この申し出を青瓦台は断ったという。これも検察が確認した。シャネルは青瓦台との協議により必要な手続きを経てこれを国立ハングル博物館に寄贈したが、その過程で特別活動費などの予算が使われなかったことも確認された。

■「衣服代への特別活動費使用疑惑」は引き続き捜査

 この他にも検察は大統領警護処の警護担当者らが金正淑氏に個人で水泳を指導した疑惑、企業経営者らを青瓦台に呼んで昼食会を開催した疑惑もすべて嫌疑なしとした。ただし金正淑氏が特別活動費から衣服代などを支払った疑惑については、警察の捜査とも重複するため引き続き捜査を行うという。

 2023年12月に与党・国民の力所属の李鐘培(イ・ジョンベ)ソウル市議会議員の告発を受けて検察はインド出張疑惑の捜査を開始した。検察は先月、書面での聴取を行った上で、捜査開始から1年2カ月で不起訴を決めた。

イ・ミンジュン記者

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