中国の低コスト・高性能人工知能(AI)「ディープシーク」が韓国のユーザー情報を中国など海外に無断移転したことが確認された。ディープシークは行き過ぎた個人情報収集と情報流出問題で現在韓国では新規のダウンロードが中断されている状態だ。

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 韓国の個人情報保護委員会は今月24日、「ディープシーク事前実態点検」の結果を発表した。それによると、ディープシークは韓国のユーザーの個人情報を米中の企業4社に同意なしに無断移転していた。また、ユーザーが必要な情報を得るために、ディープシークのチャットウインドーに質問したり、命令したりした内容も記録していた。

 情報移転先の中国企業は「ディープシーク北京」とオンライン事業のマーケティング・リスク管理を支援する「数美科技」、クラウドサービスを提供する「北京火山引擎科技(北京ボルケーノ・エンジン・テクノロジー)」の3社。北京火山引擎科技はソーシャルメディアであるティックトックの親会社である字節跳動(バイトダンス)の系列会社。米国業者はオンライン顧客支援企業「インターコム」で、ディープシークの顧客支援サービスの委託先だ。個人情報委は「流出した情報とユーザーの規模は正確には分からない」とした。

 ディープシークは個人情報収集の基準も守らなかった。ディープシークはユーザーから情報の国外移転について同意を得ていない。また、ユーザーがインタラクティブ入力ウインドーに入力した内容をAI開発と学習のために提供することを拒否できる「オプトアウト」機能も設けていなかった。

 ディープシークはまた、韓国でのサービスに当たり、中国語と英語でのみ「個人情報処理方針」を公開していた。韓国語版がなかっただけでなく、韓国の個人情報保護法が求める個人情報破棄の手続きと方法なども記載していなかった。

 個人情報委は、ディープシークに個人情報を国外に移転する際、ユーザーの同意、告知手続きなど合法的な根拠を備え、ボルケーノには入力ウインドーへの入力内容に関する情報を直ちに破棄することを求める是正勧告を行うことを決めた。韓国語版の個人情報処理方針を公開することも求めた。ディープシークは今回の点検過程で韓国の法律を順守した韓国語版の処理方針を提出するなど、問題点の一部を是正した。

 ディープシークは今年1月、低コスト・高性能AIモデルを発表したが、すぐに行き過ぎた個人情報収集問題が浮上した。個人情報委は1月末、ディープシークに対する実態点検に着手し、2月15日に韓国国内でディープシークのアプリの新規ダウンロードを中断した。既にダウンロード済みのアプリは使用することができる。ナム・ソク個人情報委調査調整局長は「事業者が勧告を受け入れ実行した後、独自判断で(サービス再開の可否を)決める」と説明した。

カン・ダウン記者

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