▲ロッテワールドモール1階前に座り、メタモンカードの購入を狙う転売ヤー。7日午後0時撮影。/イ・ホジュン記者

 「メタモン、メタモン…サンマン・オチョノン(3万5000ウォン=約3600円)で売ってください」

 今月7日午前11時ごろ、ソウル市松坡区の石村湖近くにあるロッテワールドモール(ロッテワールドタワーのグルメ・ショッピングモール)の前でのことだ。中国語のアクセントが残る韓国語を話す一人の男性が、こう言いながら近づいてきた。私が手にしているポケモンカードを見て、お金を出して買いたいと言ったのだ。このカードは、1時間並んで無料でもらった「メタモン・プロモカード」だった。男性は口座に入金を済ませると、メタモンカードを手にし、次の売り手を探すためにその場を離れた。

【写真】「へんしん!メタモン」 ラプラスに乗るピカチュウの巨大バルーン

 先月25日から、ソウルの石村湖東湖の周辺で開催されているイベント「ポケモンタウン2025 ウィズ・ロッテ」で、ポケモン関連のグッズを購入し、それを転売して利益を得る「転売ヤー」が活発に活動していることが分かった。会場で出会った転売ヤーたちの相当数が中国人であることも分かった。

 このイベントの名称は「変身! メタモン:ラプラス&ピカチュウ」。現在、石村湖の水上には高さ16メートルのポケモンキャラクター「ピカチュウ」と「ラプラス」の巨大バルーンが浮かんでいる。昨年にも同じようなバルーンが石村湖に登場したが、よく見ると二つのキャラクターの様子は同じようで異なっている。今年のバルーンは、どんなポケモンにもそっくりに変身できる「メタモン」がピカチュー・ラプラスに変身したというコンセプトで作られた。松坡区によると、このイベントには開始からわずか五日で120万人が訪れたとみられる。

 ロッテグループとポケモンコリアは今年、このメタモンバルーンの姿をあしらった「メタモン・プロモカード」を制作し、イベントの来場者に1人1枚ずつ無料で配っている。今回のイベントでのみ配布される限定版カードだ。カードは石村湖近くのイベント会場に設置された景品交換所で、ロッテグループのショッピングチャンネルを統合したショッピングアプリ「ロッテオン(ON)」のアカウントと身分証明書を照合した後に配られる。イベントの関係者は「身分証の確認をしなければ、一人でロッテオンのアカウントを何百個も作って来場し、メタモンカードを大量にもらっていく可能性がある」と話した。

 本人確認が必要なのは、中国で今回のメタモンカードの人気が高いからだ。現在、中国のある中古取引サイトでは、このカードが468元(約9万ウォン=約9600円)で売られている。無料でカードを1枚もらえば9万ウォンを稼げるわけだが、それができないため、他の人がもらったカードをお金を渡して買い取り、差益を手にしようというのだ。

 7日午前10時ごろには、メタモンカードを配布する景品交換所の前に来場者約200人が並び、その列は100メートルほどに及んだ。1時間後、メタモンカードを手にして出口から出ると、10メートル先には中国人とみられる転売ヤーの姿があった。20代のある男性は、メタモンカードを手にするとすぐに転売ヤーに売却し、拳を握りしめて仲間に「おお、売れたぞ」と言って喜んだ。

 価格交渉も行われていた。この日正午ごろ、景品交換所の周辺には中国人の転売ヤーが3人いた。ある来場者は、最初に近づいてきた転売ヤーが価格を提示すると「それより高く売りたい」と断り、別の転売ヤーに接近して自分から希望価格を提示していた。

 メタモンカードは、時間がたつにつれて出回る量が増え、価格が下がってきているようだ。今月4日に家族と共にイベントに参加した20代のパクさんは「6枚をまとめて中国人転売ヤーに売り、27万ウォンを受け取った」と話した。1枚当たり4万5000ウォンだったが、7日には3万5000ウォンほどになっていたため、三日間で1万ウォン値下がりしたことになる。

 転売ヤーたちは、韓国国内の中古取引サイトでもメタモンカードを買いあさっている。フリマサイト「タングン(ニンジン)マーケット」には、「メタモンカードを1枚3万8000ウォンで100枚買い取ります」という投稿が見られる。「メタモンカードを3万5000ウォンで売ります」と書き込んだところ、わずか1分で2人から「買いたい」と連絡が入った。このような形で買い取って中国のサイトで売れば、5万ウォン近く稼げるのだ。

 イベント会場に設けられたポップアップストアでは「ウォーターボール・フィギュア」、「ラプラス&ピカチュウぬいぐるみ」「ラプラス&ピカチュウ ギミックマスコット(仕掛けが組み込まれたマスコット)」などのグッズが販売されている。このイベントでしか買えない限定版で、メタモンカードのようにインターネット上で高値で取り引きされている。定価3万8000ウォンのぬいぐるみはタングンマーケットで6万5000ウォンで取り引きされており、12万ウォンのウォーターボール・フィギュアは18万ウォンで売られている。

 このため、オープンと同時に店に駆け込む「開門ダッシュ」も起きている。商品ごとに毎日200-300個ずつ入荷があるが、ロッテ側は1人2個までと制限を設けている。午前10時30分にストアをオープンすると、正午ごろには全て売り切れるという。あるスタッフは「深夜3時から行列ができている」と話した。X(旧ツイッター)などSNS(交流サイト)には、「3-4万ウォンの報酬を出すのでグッズを代理で購入してほしい」と呼び掛ける投稿も見られる。

キム・グァンレ記者、イ・ホジュン記者

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