アルゼンチンで、州政府が誤って巨額の金を一般人の女性に送金し、その金を使い込んだ女性が警察の捜査を受けるという憂き目に遭っていることが分かった。

 アルゼンチン・メディア「クラリン」「ラナシオン」などが24日、報じた。それによると、この女性はアルゼンチンに住むベロニカ・アコスタさん。5月6日に養育費8000ペソ(約1000円)の入金を確認するために自身の銀行口座を照会したところ、5億1000万ペソ(約6300万円)が入金されていることに気づいた。

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 アコスタさんはこの大金の送金元を確認せず、直後に食料品をはじめ冷蔵庫、エアフライヤー、電子レンジ、テレビ、部屋の床材、便器の付属品などを購入した上、中古の自動車まで購入してしまったという。アコスタさんはさらに、親戚など6人にお金を送った。

 ところがこのお金はアルゼンチン・サンルイス州政府の会計士が誤って送金したものだった。州政府は誤送金があった翌日の5月7日、行政のミスを確認し、一日後にアコスタさんの口座を凍結して送金額の90%近くを回収した。残る10%の行方は追跡中だ。

 警察はアコスタさんをはじめ、お金が振り込まれた5人について、州政府の資産を不正に使った容疑で捜査している。入出金明細を分析した結果、アコスタさんは24時間にわたって品物の購入や親戚への送金を繰り返し、66回に分けて振り込みを実施していた。これに関連し、現地警察は、国税庁に所得を証明する必要のない送金額の上限(50万ペソ=約6万2000円)を意識していたものとみている。

 アコスタさんは現地テレビ局とのインタビューで「お金が切実に必要な状況だったため『神からの贈り物』だと考えた」として「州政府のお金だったとは知らず、警察の捜査対象になるまで誰もそのお金の持ち主に関する情報を教えてくれなかった。悪意を持ってお金を使ったわけではない」と話した。

 アコスタさんの弁護士も「州政府のミスについて、正式な通知を受けていない」として「ニュースを見ているときに警察が家に到着した」と説明した。

 事件が知れ渡ると、ネットでは正体不明の大金を確認もせずに使い込んだアコスタさんに対する批判が起きた。ただし一部では、州政府が自分たちのミスを一般人に押し付けているとの意見も見られた。

チョン・アイム記者

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