▲今月25日に来韓した国際選挙監視団のメンバー。左からグラント・ F・ニューシャム元米海兵隊戦略将校、モース・タン元国際刑事司法大使、ジョン・ミルス元米国防総省サイバーセキュリティー政策局長、ブラッドリー・テイアー・シカゴ大学政治学博士。/ヒョン・ジョンミン記者

-専門家として韓国の選挙制度を評価するとすれば、制度面でどんな欠陥があると判断したか気になる。

 ブラッドリー・テイアー(以下、テイアー)「個人的な見解としては韓国の選挙制度は10点満点の3-4点レベルと考える。これは北朝鮮やジンバブエよりはましだが、民主主義国家としての信頼性は非常に低い」

【写真】竜仁市内の期日前投票所で見つかった「李在明」の横に投票マークのついた投票用紙

 「特に国連の国際的な選挙基準と比較した場合、韓国の選挙システムには捏造(ねつぞう)の可能性が非常に多く内在している。優れた選挙システムを持つ台湾の場合、その手続きはあまりに簡単明瞭だ。まず全ての投票は1日で終わる。投票は本人が直接投票所に出向いて行い、開票は手作業だ。これに対して韓国は在外国民投票、期日前投票など複雑な手続きを経て投票が行われ、電子開票システムはサイバー攻撃を受ける可能性もある。また正当な監視活動を行う市民が警察に逮捕されるとか、選管に告発される事例も珍しくない。これは選挙を監視する権利を侵害する行為であり、国際的な基準からもあまりに懸け離れている」

-先日行われた期日前投票もその過程で多くの疑問の声が出た。監視活動中に問題を発見したか。

 ジョン・ミルス(以下、ミルス)「投票の透明性と検証可能性が守られていない事例を数多く目の当たりにした。われわれよりも先に選挙監視を行った市民団体が全国3500以上の期日前投票所で有権者数を直接数えたところ、選管の発表と実際の票の数が一致しない事例も数多く発見された。特定の候補者を事前にマークした投票用紙が発見され、別の候補の票が破砕された事例も報告されている」

 「投票用紙が投票所の外の食堂に持ち出されたケースや、有権者の身元確認がずさんだったケースもある。有権者の生体認証手続きを形だけ行い、学生証で身元を確認することで外国人留学生の投票参加を可能にした事例もあった。先日もSKテレコムへのサイバー攻撃で国民の半分以上の個人情報が一気に流出したが、これらを考慮すると選管がその役割をしっかりと果たしているか疑問だ」

-米国の監視団が韓国の選挙に介入することは内政干渉との指摘もある。これはどう考えるか。

 ニューサム「まずわれわれは米国政府所属ではないので内政干渉は最初から成立しない。民間の監視団として韓国の民主主義を支持し、市民の参政権がしっかりと保障されているか監視するだけだ。国際選挙法によると、外部監視団の活動は全面的に正当であり、国連や国際機関もこれを奨励している」

 「むしろわれわれは北朝鮮や中国共産党が極秘に行う可能性がある実質的な内政干渉を阻止しようとしている。これらの国々による政治介入は実在の脅威であり、われわれはこれに警鐘を鳴らす立場にある。韓国の民主主義を本当に心配するのであれば、今のように選挙制度や監視機能が毀損(きそん)される現状に沈黙してはならない。本当の友人は必要な時に真実を語るものだ」

-来週には韓国の大統領選挙が終わる。国際選挙監視団の今後の計画は。

 タン「6月3日の投票日まで韓国に滞在し監視活動を続ける予定だ。その後は観察した内容に基づいて報告書を作成し、韓国政府や米国政府、国連、世界選挙機関協議会(A-WEB)など関係機関に提出する。国民の誰もが分かる透明な形で情報を共有したい。単純に制度を批判するとか価値を下げる意図はない。国際社会が韓国における選挙の問題点を理解し、適切な対応を可能にする基盤を提供したい」

 「われわれは韓国の有権者がより信頼できる選挙システムを構築するための支援を目指している。透明な選挙制度を運営する国であれば、外部からの監視を受け入れるべきだ。監視を拒否する姿勢こそ逆に疑念を抱かせるだろう」

ヒョン・ジョンミン記者

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