▲グラフィック=李撤元(イ・チョルウォン)

 李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任から10日で、カナダで開催される主要7カ国(G7)首脳会議に出席し外交デビューを果たすことになった。世界の自由民主主義陣営の首脳らの前で、李在明大統領が普段から強調してきた「国益中心の実用外交」が試される形だ。とりわけ2018年のカナダでのG7首脳会議を最後に出席していなかった米国のトランプ大統領が今回7年ぶりに出席することにも大きな注目が集まっている。李在明大統領は今回、関税で世界に混乱を引き起こしているトランプ大統領との初の顔合わせとなり、両国の交渉で良好な雰囲気を醸成できるかに注目が集まっている。

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 今回のG7首脳会議は世界の安全保障問題、エネルギー安全保障、人工知能(AI)、量子技術、未来に向けたパートナーシップなどがテーマになる。ロシアとの戦争が続くウクライナへの支援策、イスラエルとイランの戦争など中東問題、米中対立による中国のレアアース輸出規制なども話し合われる見通しだ。今回のG7首脳会議は第2次トランプ政権発足後はじめての開催となる。高い関税で世界に圧力をかけているトランプ大統領が西側主要国の首脳らにいかなるメッセージを出すかにも関心が集まる。「中国封じ込め」に力を入れるトランプ大統領はG7諸国にも対中圧力への参加を求めると予想されている。

 このような中で招待国として出席する李在明大統領は来月から本格的に始まる米国の関税政策をめぐりトランプ大統領との間で交渉の糸口を模索するとみられる。韓国大統領室は今回のG7首脳会議期間中に李在明大統領とトランプ大統領との首脳会談実現に向け調整を進めているという。韓米首脳会談が実現した場合、関税など通商問題もいかなる形であれ両首脳間で話し合われる見通しだ。韓国大統領室の関係者は「首脳らが集まれば実務交渉に向けた動力を得るきっかけになるだろう」と期待を示した。外交関係者の間では「トランプ政権は中国への圧力に力を入れているため、在韓米軍など安全保障をテーマとする話が両首脳間でやり取りされるのでは」との見方も出ている。

 李在明大統領は17日「エネルギー安全保障」をテーマとするG7首脳会議の拡大セッションに出席する。韓国大統領室は「李在明大統領はエネルギー・サプライチェーンの多角化、そしてAIとエネルギー問題の関係性について2回発言する予定だ」と明らかにした。ロシア・ウクライナ戦争でエネルギー問題が浮上し、また米国による中国への半導体輸出規制に中国がレアアース輸出規制で対抗する今の状況で、李在明大統領がいかなる立場を取るかにも注目が集まる。韓国大統領室のある幹部は17日「韓国の外交は韓米同盟、韓日関係、韓米日協力を基調としているが、同時に中国やロシアとの関係も悪化させたくない」とした上で「李在明大統領も『(中国と)対立するのは韓国にとって良くない』と語っている。良好な関係を維持したいと考えている」と述べた。

 しかしG7共同声明で中国けん制が言及された場合、韓中関係改善を目指す李在明大統領にとっては頭の痛い状況になるとも考えられる。世宗研究所のキム・ヒョンウク所長は「G7はここ数年、首脳会議のたびに中国への圧力に言及する共同声明を出している。今回も世界の安全保障と安定の脅威となる中国の動きに言及し、G7として経済安全保障協力を強調するメッセージが出されるのではないか」と予想した。

 G7首脳会議では韓日首脳会談も行われる見通しだ。李在明大統領は以前から保守政権による対日外交を「屈辱外交」と批判してきた。しかし就任後最初の記者会見では尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が進めた強制徴用問題解決策について「国家間の関係は政策の一貫性が特に重要だ」との考えを示した。これについて上記の韓国大統領室関係者は「韓日関係は様々な分野で協力でき、また双方にとってプラスになる多くの内容がある」「韓国外交をさらに実りあるものにできるので、一層強化できる関係だ。そのため今後も推進したいと考えている」と伝えた。別の外交筋は「従来の韓日間の信頼関係を継続する意向を改めて確認できただけでも大きな成果だ」とコメントした。

 今回のG7首脳会議には米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、日本、カナダの7カ国の他にオーストラリア、インド、ウクライナの首脳らも招待され出席する予定だ。韓国大統領室は「7-8カ国との首脳会談を調整中」と明らかにした。李在明大統領はG7首脳会議後の今月24日にはオランダのハーグで開催されるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議への出席も検討している。

パク・サンギ記者、盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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