国際総合
価格攻勢が奏功 中国COMAC製旅客機、東南アジアで人気
東南アジアの航空会社は中国が独自開発した航空機を相次いで導入している。世界の航空機市場をリードしているボーイングやエアバスによる機体引き渡しが遅れる中、相対的に安い中国製航空機を速やかに導入し、急増する旅行需要に対応しようとしている格好だ。
【写真】中国旅客機C919 仏エアバスA320を完コピして誕生か
香港紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)の報道によると、マレーシアのアンソニー・ローク運輸相は最近、「東南アジアで航空旅行需要が増大し、エアバスやボーイングの機体引き渡し遅延が続き、中国製のC919旅客機に対する域内での関心が高まっている」と話した。
C919は中国国営の航空機メーカー、中国商用飛機(COMAC)が直接設計、製造したナローボディー機で、2023年に商業運航を開始した。COMACは現在、定員100人のC909、同170人のC919の2機種を生産しており、ワイドボディー機であるC929の開発も推進中だ。
同紙によると、現在マレーシアの格安航空会社(LCC)であるエアアジア、新興航空会社のエアボルネオなどがCOMAC機に関心を示している。ローク運輸相は「全ての航空会社が航空機の調達を多角化しようと努力しており、より早い引き渡しが可能で安いオプションを模索している」と述べた。
中国とマレーシアの政府レベルの協力も、COMAC機導入を検討する理由の一つだ。今年4月、中国の習近平国家主席がマレーシアを訪問した際、両国首脳は共同声明で「マレーシアの航空会社が中国の商業用航空機を導入し運用するよう支援していく」と表明した。
既に東南アジアの一部の国は、COMAC機の運航を開始した。ベトナムの格安航空会社であるベトジェットエアは今年4月からC909を2機導入し、国内線に投入。ラオス航空、インドネシアの航空会社トランスヌサも同機種を運航中だ。4月時点で3社はC909を東南アジア路線15カ所に就航させている。
COMAC機の強みはボーイング、エアバスに比べ数百億ウォン安い価格だ。海外メディアの報道を総合すると、C919の価格は1機当たり約1億ドル(約148億円)で、エアバスA320(約1億1100万ドル)、ボーイングB737-8(約1億2100万ドル)より安い。リースする場合、中国政府の支援ではるかに低価格で利用できるという。
ただ、COMAC機の普及には限界がある。まだ米連邦航空局(FAA)と欧州航空安全機関(EASA)の承認を受けていないからだ。その上、東南アジア各国は米トランプ政権の関税圧力でボーイング機を購入する可能性が高い。これに先立ち締結されたインドネシアと米国の貿易合意にもボーイング機の発注が盛り込まれている。
米ワシントンの国防大学で東南アジア史の教授を務めるザカリー・アブジャ氏は「中国が東南アジア全域でC919を積極的に宣伝している」としながらも、「一部の国は米国との貿易黒字を早く解消し、トランプ大統領にプレゼントを贈る簡単な方法として、国営・民間の航空会社にボーイング機を購入するよう圧力をかける可能性がある」と指摘した。
キム・ソンイ記者