▲グラフィック=キム・ソンギュ

 「お客様、代わりに試験を受けますので、ご心配いりません。成績表が届くのをお待ちください」

 ブローカーは自信満々だった。彼が提示した金額は180万ウォン(約19万円)。韓国にいる外国人が韓国の大学入学や永住権獲得・国籍変更などをするのに必要な韓国語能力試験(TOPIK)を替え玉受験する対価だ。本紙記者が5日、「TOPIK代理受験」というワードで宣伝している匿名のメッセージ・アプリのチャットルームに入ると、「希望するレベルで100%合格させる」「お客様は試験会場に行く必要もない」と言われた。ばれたらどうするのかと聞いたら、「6年間以上『代理受験業』をしてきたが、一度も捕まっていない」という返信があった。

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 韓国に居住する外国人が増えるにつれて、外国人の韓国語使用能力を評価する試験であるTOPIKの「代理試験業者」がはびこるようになった。昨年の韓国在留外国人数は約265万人で、韓国の人口の5.2%に当たる。この10年間で1.5倍増加した。TOPIK受験者は2020年の21万8869人から昨年は49万2498人になり、4年間で2倍以上も増えている。韓国に定着した外国人の増加もあるが、韓流ブームで韓国語を学ぼうとする外国人が増えているためだ。ところが、替え玉受験などの不正行為摘発件数も2020年の182件から昨年は414件へと急増した。韓国語の実力が十分でないのにもかかわらず、永住権取得や就職をしようとする外国人が増えるや、違法業者も雨後のタケノコこのように増え、すきを狙っているものとみられている。

 替え玉受験ブローカーらは「テレグラム」「X(旧・ツイッター)」「百度(バイドゥ)」などの交流サイト(SNS)を通じ、「(TOPIK)代理試験専門業者」「試験受付後も24時間相談可能」といった文言を掲げ、外国人受験生を引き入れている。ある業者は中国語で「TOPIK操作、代理試験を運営している」と言った。本紙記者がこの業者に韓国のメッセージ・アプリ「カカオトーク」で替え玉受験を問い合わせると、ブローカーは1分で「安全に処理してさしあげます」と返信してきた。

 本紙取材チームがTOPIK替え玉受験ブローカー30人に問い合わせたところ、替え玉受験の費用は100万-250万ウォン程度だった。費用は顧客が希望するレベルによって違う。TOPIKは1級から6級までに分かれていて、数字が大きくなるほどレベルが高く、韓国語ができるという意味になる。初級レベルの1・2級は150万ウォン、3・4級は180万ウォン、最も高いレベルである5・6級は200万-250万ウォンだった。あるブローカーは「急に成績が上がると疑われることがあるので、2・3級程度をお勧めする」と耳打ちした。

 業者たちは「身分証明書の偽造もする」と宣伝している。 あるブローカーは「パスポート、外国人登録証、学生証さえ送ってくれれば、替え玉受験者の写真を入れて、うまく身分証を作ることができる」と言った。中には、「監督官をあらかじめ買収しておいた」と宣伝する業者もいる。ある業者は「契約金30万ウォンを先に払えば、監督官と事前に会えるようにあっせんする」と言った。しかし、実際に監督官の買収があったかどうかは確認できていない。TOPIK試験を主管する韓国教育部(省に相当)傘下の国立国際教育院は「毎回、各試験会場の試験担当者を対象に試験の5日前と当日の2回、監督官教育を実施している」と説明した。

 TOPIKの替え玉受験で摘発されれば、公務執行妨害や公文書偽造などで起訴され、懲役刑を受けるケースが多い。先月13日、ソウル市銅雀区の崇実大学で、中国国籍の30代の女が替え玉受験をした容疑で現行犯逮捕された。この女の携帯電話からは、替え玉受験の対価としてブローカーが60万ウォンを渡すことになっているというメッセージのやり取りが見つかった。同じ日に漢城大学や仁済大学でも替え玉受験が摘発され、警察が捜査中だ。昨年4月にも韓国で大学進学するためにTOPIKの替え玉受験を依頼した中国人留学生が起訴され、懲役8カ月、執行猶予2年の有罪判決を言い渡された。特に、韓国国内の試験会場よりも中国など海外の試験会場で替え玉受験が頻繁に行われている。試験管理・監督の人材が十分でないためだ。

 教育院では、不正行為が摘発された場合、替え玉受験者も依頼者も4年間試験を受けられないようにしている。だが、摘発されても替え玉受験依頼者に対する試験禁止処分はほとんど行われていない。警察が捜査を理由に個人情報を教育院に知らせていないためだ。法曹界関係者の間からは「検察の起訴後、関与者の情報を共有できるシステムを作らなければならない」という声が上がっている。

ハン・ヨンウォン記者

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